第116話

「なんか久しぶりに感じるな」


 ギルドをみてそう感じた。

 そんなに時間はたってないはずなんだけどな。


「あ、そういえばアイルも冒険者として登録した方がいいのか……?」

「えっと……一応登録だけはしてあります。Bランクですが」

「B?! すごいな」


 騎士団での活動をやりながら片手間に到達できる領域ではない。

 それなりに時間をかけたか、セシルム卿が何かしたか……いや後者か。流石に騎士団やりながら地道にBランクにはさせないだろう。

 ミルムのように登録時点で力を示せばそうできるはずだ。


「じゃあパーティーに加入する手続きだけでいいか」

「良いのですかっ!?」

「良いも何も、一緒に行動するならそうなるだろ」

「ありがとうございます!」


 なぜかテンションがあがっているアイルを連れて、改めてギルドの扉を開いた。


「ランドさん! すぐにギルドマスターに連絡を取りますね!」


 入るなり受付嬢ニィナさんが声をかけてくれた。そのままパタパタと奥に入っていく。


「今ギルドマスターって言ってなかったか!?」

「なんだお前、知らねえのか。あの二人はこのギルドお抱えのSランクパーティーだぞ?」

「なんか一人増えてないか?」

「そう聞くとあの鎧騎士も強そうに見えるな……」


 酒場はいつも通り盛り上がっていた。

 フェイドたちのパーティーを抜けて以来、反応は悪くない形でまとまっているようで一安心だった。


「ランドさん! お待たせしました。奥にどうぞ」


 ニィナさんに呼ばれていつもの応接間に向かった。


 ◇


「悪りぃな。呼びつけちまってよ」

「それは良いんだが……なんか掴んだのか?」

「いや……にしてもランドお前。ちょっと見ねえうちに……なんか顔つきが変わったな」


不意にそんなことを言われる。


「あー悪い意味じゃねえ。ちょっと頼りがいが出てきたんだよ。隣のお嬢ちゃんのおかげか?」

「へっ?!」


突然指名されたアイルがあたふたしていた。


「お前は今まで自分より強いと思うような相手としか組んで来なかっただろ。今回が初めてのはずだ。それでだな」


確かに言われてみればそうかも知れない……。

フェイドたちと組んでる時も、ミルムとこうして組み始めてからも、自分がなんとかしなければという気持ちはなかった。自分の責任で守らなければと感じている相手は、アイルが初めてかもしれない。


「いいこった。お前はそのくらいの力もあるし、性格も向いてんだろ。テイマーってのは面倒見が良いはずだしな」


満足そうにそう言って笑うギレン。

アイルはあわあわしている。

ミルムいつもどおり出されたお菓子を頬張るのに忙しい。

なんか応接間のお菓子、増えてないか……?


まあいいか。

ギレンが改めて口を開く。

ここからが本題だ。

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