第95話 タンクランチュラ
アキラはシカラベ達よりも早くタンクランチュラを発見していた。アルファの索敵の成果だ。
アルファが荒野の先を指差す。
『アキラ。賞金首を発見したわ』
アキラが双眼鏡でアルファの指差す先を見る。そこには巨大なモンスターの姿があった。
『あれが8億オーラムの賞金首か……。デカいな』
タンクランチュラの外見は、3階建ての家ほどの大きさがある巨大な金属製の
タンクランチュラは焼け焦げ半壊した車を足で突き刺して口元に運び
『車を食ってる……。食事中か?』
『返り討ちにしたハンターの車かもしれないわね。下手に近付くと、アキラの車も同じ目に遭いそうね。注意しましょう』
『主食が金属なら、持ち主は逃げ帰れたのか? それとも先に食われたのか?』
『ああいうのは大抵雑食よ。それに装備している重火器や金属部の多い強化服を食べるのに、
『それもそうか。雑食ではなかったとしても、俺の車を食わせる気はないけどな』
アキラが大金を出してせっかく買った車だ。タンクランチュラの食料にするわけにはいかない。
『あの類いのモンスターは、食事の量に応じて大きくなるの。放っておくと更に巨大になって、更に食事の量を増やすわ。大抵の場合はそこまで大きくなる前に他のモンスターに倒されるのだけれど。あれがヨノズカ駅遺跡の奥から来たモンスターなら、偶然餌がたっぷりあったのかもね』
アキラはヨノズカ駅遺跡の通路、戦闘の痕跡はあったが死体等が見つからなかった場所のことを思い出した。まだ幼体だったタンクランチュラが食事をしながら通路を通過できる大きさまで成長し、遺跡の外に出た後に周辺の残骸を食べて更に成長したのかもしれない。
車で近付きながらタンクランチュラの巨体を確認する。鋼の外骨格は非常に頑丈そうで、車を貫いている太い足は非常に強靭強力そうだ。砲塔の2門の大砲も見るからに強力そうである。その見るからに強力そうなモンスターを見て、アキラが
『それにしても、あいつを倒せば8億オーラムか。8億オーラムの賞金が懸かるって、一体どれだけ強いんだ?』
『賞金額が賞金首の強さを決めるわけではないけれど、少なくとも8億オーラム払ってでも、あれに早急に死んでもらいたい誰かがいることは確かよ。
『見れば分かる。あんなのが荒野にごろごろいてたまるか』
『もっと東の地域なら、あの程度のモンスターぐらいごろごろしているわ』
『そ、そうなんだ』
『そしてあの程度のモンスターを簡単に倒すハンターもごろごろしているわ。だから同じ強さのモンスターがいても、その地域では賞金首にはならないのでしょうけれどね』
『世界は広いなぁ……』
アキラは感慨深く
通信機からシカラベの戦闘開始の指示が届く。指示を聞いて気を引き締めるアキラに、アルファが不敵に
『賞金首との戦闘開始ね。覚悟はできている?』
『
『良し。それでは始めましょうか』
『あ、ちょっと待ってくれ』
『どうかしたの?』
アルファが不思議そうな表情を浮かべる。
『一応確認しておかないとな』
アキラがトガミの方を向いて宣言する。
「俺は俺の好き勝手に戦う。シカラベともそう話を付けている。お前のことは一切考慮しない。降りるなら、今降りてくれ」
元々
「はぁ!? ふざけるな!」
「降りないんだな? 確認は取ったぞ」
アキラはそれだけ言ってアルファの方に顔を向ける。
『始めよう』
『了解したわ。彼が車から投げ出されても自己責任ってことで、自力で何とかしてもらいましょう』
アルファは笑ってそう言うと、車の運転をアキラから引き継ぎ、車を急加速させた。
トガミが急加速の勢いで座席に押しつけられて、思わず慌てた声を出した。
賞金首との戦闘を考慮した運転の
アキラが後部座席に移動してCWH対物突撃銃を車から取り外す。両手でしっかりとCWH対物突撃銃を構え、まだかなりの遠距離にいるタンクランチュラに向けて照準を合わせる。
タンクランチュラの巨体でも肉眼では豆粒より小さく見える距離だ。加速のために車体は大きく揺れている。アキラは照準器越しにタンクランチュラの姿を捉える。アキラの視界にはアルファのサポートにより様々な情報が表示されている。
アキラはアルファが計算した弾道予測の線をタンクランチュラに合わせる。そして意識を集中し、一瞬の密度を可能な限り圧縮し、車体の揺れが収まったような感覚を覚えた瞬間、照準を合わせて引き金を引いた。
弾丸が大気を貫いて目標へ向けて飛んでいく。弾丸は弾速により相対的に圧縮された空気の層を強引に貫き、威力を減衰させながらも目標に命中した。
タンクランチュラに命中した弾丸は、強固な金属製の外骨格にあっさり
タンクランチュラは既にアキラ達に気付いていた。ただ食事中であることと、アキラ達との距離が離れていることから、対処の優先順位を落として食事を優先していただけだ。しかし自身に攻撃が届いたことで、攻撃を受けても無傷であろうとも、アキラへの対処の優先順位を上げた。
タンクランチュラの砲塔が動き始める。好物である金属の塊に向けて、大砲の照準を合わせようとしている。
アキラが照準器越しにタンクランチュラの様子を確認している。
『当たったかな?』
『命中したけれど、
『そうか。それならもう少し近付かないとな。
『
『了解』
アキラは左手を銃から離して車体を
タンクランチュラがアキラの車に大砲の照準を合わせる。
タンクランチュラが放った砲弾は、アキラを周辺ごと吹き飛ばそうとしている。アルファは素早く弾道予測を済ませると、車の乗員を無視して勢い良く進行方向を変えて着弾地点から離れようとした。
乗員であるアキラとトガミに車の速度に応じた慣性が襲いかかる。アキラは立ちながら強化服の握力で車体を
地面にめり込むように着弾した砲弾が爆発して爆煙と土砂と
アルファが余裕の
『相手の照準の精度は結構悪いみたいね。これなら問題なくもっと近づけるわ』
『それは良かった! できればもうちょっと着弾点から離れてくれ!』
アキラは車体から両脚が浮いた感覚を覚えていた。左手でしっかり車体を
『大丈夫よ。あの程度の威力なら、直撃を受けても1発ぐらいは耐えられるわ』
『それは車のことだよな!?』
『
『
『アキラが1人でタンクランチュラを倒せば、多分その賞金で買えると思うわ』
『そんな金はない!』
『それならもっと稼がないといけないわね。頑張って稼ぎましょう』
『ああ、そうだな!』
当たり前のように
シカラベ達がアキラの戦闘を車載カメラの映像で確認している。大型の表示装置に映っているアキラの無謀とも思える戦闘の光景を見て、シカラベ達は楽しそうに笑っていた。
ヤマノベが不敵に笑って話す。
「やるな。
パルガが余裕の笑みで話す。
「
シカラベが車の端末を操作すると、車両後部の扉がゆっくりと開いていく。シカラベが一応念を押す。
「無理はするな。仕事を済ませたらすぐに戻ってこい」
ヤマノベが笑って答える。
「分かってる。確かにあれを見て、俺も少しは
パルガが少し
「拍手喝采の中で死ぬ気はない。そういうのは別のやつの仕事だ」
シカラベが2人の様子を見て安心したように少し表情を崩した。
「2番。作戦開始だ」
「3番。作戦開始だ」
ヤマノベとパルガが走行中の車の中からバイクに乗って飛び出していく。空中でタイヤの回転を加速させ、そのまま地面に着地する。2人はそのままシカラベが乗っている車を追い越し、二手に分かれてタンクランチュラに向けて走り続けた。
アキラがタンクランチュラの砲撃を
CWH対物突撃銃の専用弾がタンクランチュラの装甲に着弾する。弾丸が装甲に減り込み、装甲と弾丸が大きく変形する。着弾地点の装甲がタンクランチュラから剥がれて落ちていく。剥がれた装甲の下には別の無傷の装甲が有り、内部から新しい装甲がせり上がってきてすぐに元に戻る。今のところ、タンクランチュラに損傷らしい損傷は与えられていない。
アキラが
『当たってるよな?』
『しっかり命中しているわ。着弾時に与える被害も上昇している。少なくとも着弾した箇所の装甲が少し剥がれる程度にはね』
アキラが少し
『もっと近付かないと駄目か?』
『これ以上近付くのは危険よ。囮としての役割は十分果たしているわ。シカラベ達に何か作戦があるようだし、この距離を保って攻撃を続けましょう』
『そうだな。了解だ。引き続き安全運転を頼む』
『了解よ』
『自分で言って何だが、安全運転の意味が問われるな』
アルファが
『あら、私はちゃんと安全に運転しているわ。私の知らない間に
『いいや』
アルファは
トガミは必死になって車にしがみついていた。両手両脚で体を車体に固定し、車外に
アルファはタンクランチュラの砲弾を避けるために非常に荒っぽい運転を続けていた。敵に的を絞らせないために、急停止、急加速、急旋回を繰り返していた。
アキラはアルファの強化服の操作により、事前に車の動きに合わせて体勢を変えたりしていたので、激しく揺れる車体の上でも問題なく立ち続けることができている。
しかしトガミはそうはいかない。アルファの運転に加えて砲弾の爆風や衝撃がトガミの体を激しく揺さぶっていく。一瞬でも気を抜けば車外に放り出されそうな衝撃に辛うじて耐えていた。敵を攻撃する余裕などない。それどころではないのだ。
トガミはアキラが
文句を言おうにも口を開けば舌を
トガミは辛うじて首を動かして後部座席のアキラを見る。アキラは少し険しい表情を浮かべたままタンクランチュラへ攻撃し続けている。
(……な、何なんだこいつは!? これがハンターランク21のハンターだって!? ふざけるな! こんなランク21がいてたまるか! ふざけるな! 何なんだこれは!? どうしてこんな状況になっているんだ!?)
激しく揺れる車体の上で、状況に付いていけずに混乱したまま、トガミは自分でもよく分からない何かへの罵倒を繰り返していた。それがトガミの精一杯だった。
タンクランチュラは自分の食事の邪魔をした目障りな相手に砲撃を続けていた。目障りな相手とは、自分に効きもしない鬱陶しい攻撃を続ける者達だ。
まずはアキラだ。次にシカラベだ。シカラベは装甲兵員輸送車に搭載されている機銃でタンクランチュラを銃撃している。一発一発が並みのモンスターなら木っ端
そしてもう1人は4番のハンターだ。彼はネルゴという名前の戦闘用サイボーグのハンターだ。義体とは異なる分かり
ネルゴは金ではなくドランカムへのコネを求めてこの賞金首討伐に参加していた。彼はシカラベからドランカムへの加入の条件として今回の作戦での貢献を求められていた。そのため借金返済の
ネルゴはアキラと同じように自前の車でタンクランチュラまでかなり接近して、巨大な銃で巨体を攻撃し続けている。高い運転技術で敵の砲撃を
その他の雇われの者達は、更に離れた場所から一応タンクランチュラに攻撃を加えていた。シカラベの期待通りの活躍である。つまり
時々飛んでくる砲弾が近くに着弾してから慌てて位置を変えて、自分達の位置を知らせる以上の意味はない攻撃を続けている。彼らの近くに砲弾が飛んできているので、一応敵だと認識はされているのだろう。
ヤマノベとパルガはタンクランチュラに一切攻撃せずに距離を詰めていた。2人とも砲弾の中を
タンクランチュラに十分近付いたヤマノベが、バイクを止めてネルゴの奮闘振りを見ている。
「アキラの他にも頑張り屋がいたか。あれだけの腕があるなら幹部連中もあいつの加入を納得するだろう。昨日聞いた事情も大したことはなかったしな。……あの腕なら別に賞金首討伐の功績がなくても、少し金を積めば良かったんじゃないか? その金がなかったのか?」
ヤマノベは少し疑問に思ったが、気にしないことにする。
「いいか。今は仕事だ。
ヤマノベはバイクに
ヤマノベが更に銃撃を続ける。発射された物体は全く攻撃力を持たないため、タンクランチュラの注意がヤマノベに向かう事は無い。複数の小型の機械が巨体の至る所に貼り付いていく。
「こちら2番。マーキングは済んだ」
通信機からパルガの声がする。
「こちら3番。了解だ。先に戻ってろ」
「お前が外したら大変だから、一応残っておくよ」
「言ってろ」
ヤマノベの軽口にパルガが笑って答えた。
パルガは別の場所でタンクランチュラとの距離を詰めていた。囮のおかげで自分から攻撃さえしなければ相手からの攻撃対象にならない境界のぎりぎりの位置にいた。そしてヤマノベからの連絡を受けると、不敵に笑ってその境界を踏み越えた。
タンクランチュラの砲塔が自身に向けられるよりも早く、パルガがバイクで素早く距離を詰めながら無反動砲を構えて引き金を引く。発射された砲弾は敵の巨体に命中する直前で爆発し、周囲に煙を
パルガが移動しながらバイクの弾薬庫から自動装填される砲弾を次々に発射する。幾つかの砲弾は同じように爆発して周囲の煙を濃くしていき、残りの砲弾はそのままタンクランチュラに貼り付いた。
濃い煙が立ち込める中、パルガが素早くその場から離脱する。タンクランチュラがパルガを大砲で攻撃しようとする。しかし大量の煙の為に、正確に狙うことができなかった。巨大な砲塔から発射された砲弾が見当違いの場所に飛んでいく。
単純な煙幕ならば、タンクランチュラは問題なくパルガを狙うことができた。しかし可視光のみならず、赤外線や超音波など、相手を捕捉する
パルガが発射したものは、高性能な
シカラベがパルガからの連絡を受ける。
「こちら3番。こっちも終わった」
自分達の勝利をほぼ確信したシカラベが笑って指示を出す。
「了解。2人ともすぐに距離を取れ。近くにいると巻き込まれるぞ」
パルガとヤマノベが返事を返す。
「分かってるよ」
「さっさと始めてくれ」
シカラベが通信機の通信先を全員に切り替える。
「こちら1番! 配布したロケットランチャーの使用を許可する! 全員タンクランチュラをロック可能な距離まで接近しろ! こちらの合図で一斉に発射する! 絶対に遅れるな!」
アキラが煙に包まれたタンクランチュラを見ている。
『煙幕か? 全然見えなくなったぞ』
『あれは
アルファがアキラの視界を拡張する。煙に覆われて見えなくなっていたタンクランチュラの姿がはっきり分かるようになる。アキラがかなり驚いている。
『こんなにはっきり分かるのか。しかもあれで向こうからはこっちの位置とかは分からないんだろう?
『かなりの高級品を使っているようね。敵の情報収集を可能な限り阻害した上で、味方の情報収集の阻害を抑えているわ。この手の物は安物だとただの煙幕と変わらない効果しかないものも多いのだけれど、賞金首を相手にするために随分奮発したみたいね。……経費を抜いた後に賞金が残っていると良いわね?』
『……だ、大丈夫だろう』
アキラは少し不安になった。
シカラベからロケットランチャー使用の連絡が来る。アキラはCWH対物突撃銃を置き、ロケットランチャーの準備を始める。
被弾する可能性が劇的に下がったのでアルファが車を止める。トガミがよろよろと体勢を立て直した。
「……お、おい」
トガミはアキラに文句を言おうとしたのだが、アキラは勘違いしてロケットランチャーとその弾をトガミに投げて渡した。トガミは何とかそれを受け取って、再び体勢を崩した。
アキラがロケットランチャーの準備を済ませる。ロケットランチャーの照準器には既に目標の捕捉と自動追尾が有効になっていることを示す内容が記されていた。
通信機からシカラベの指示が聞こえる。
「15秒後に攻撃する! この
トガミが慌てて準備を始める。
「5! 4! 3! 2! 1!」
アキラは既にロケットランチャーを構えている。トガミも辛うじて間に合った。
「ゼロ!」
シカラベの号令でアキラ達は一斉にロケット弾を発射した。
無数のロケット弾がタンクランチュラに向けて飛んでいく。それらは宙を飛び敵にある程度近付くと、一度上昇して集まっていく。そして無数のロケット弾は飛距離と発射時のずれを空中で修正し、ほぼ同時に一斉にタンクランチュラに直撃した。
大爆発が起こった。周辺の何もかも吹き飛ばすような爆発だった。
アキラは大分弱まった爆風を身に受けながら、
『……
アルファが勝ったつもりでいるアキラを注意する。
『アキラ。まだ倒したと決まったわけではないわ』
アキラが思わずアルファの方へ顔を向ける。誰もいない方向へ急に顔を向ける不審者の行動だ。それだけアキラは驚いていた。
『えっ!? いや、幾ら何でも死んだだろう!? いや、生きているとしても、あの爆発に巻き込まれたんだ。もうボロボロだろう。後はゆっくり全員でロケット弾の雨でも降らして止めを刺せば……』
アルファがタンクランチュラを指差す。
『見て』
アキラがタンクランチュラを見る。爆発で
あの爆発にも
足が数本吹き飛ばされている。砲塔らしき金属部位も吹き飛んでいる。巨大な腹が大きく
アキラが驚きの表情でアルファに話す。
『あ、あれでまだ動けるのか!? いや、でもほら、もう動けないみたいだし、大丈夫だろう?』
通信機を通してシカラベから指示が出る。
「もう一度だ。誘導装置の取り付けが終わり次第、同じように攻撃する。各自ロケットランチャーの準備をしておけ」
通信機からヤマノベの声がする。
「こちら2番。了解だ。すぐに済ませる」
通信機からパルガの声がする。
「こちら3番。俺はどうする? 一応
シカラベが答える。
「ちょっと待ってろ。確認する。……敵は遠距離攻撃能力を消失しているし、大丈夫だろう。次の賞金首との戦闘でも使うんだ。残しておけ。状況が変わって必要だと思ったら使え」
「了解だ。確かに敵の大砲は破壊済みだ。
パルガの慌てた声が通信機を通して全員に伝わった。
この場にいるハンター達の認識は様々だ。勝利を確信して完全に気を緩めてしまっている者もいる。一応まだ生きているのだからと一定の警戒を残している者もいる。しかし程度の差はあれど、自分達が圧倒的に優勢であり、残りは後片付けのようなものだと考えていたことに違いはなかった。
その全員の予想を覆す光景がハンター達の前に現れる。既に一部が裂けていたタンクランチュラの腹部が更に大きく割れる。そしてその裂け目から大量の小型のタンクランチュラが湧き出てきたのだ。
無数の機械の子
子
アルファが車を勢いよく発進させる。無数の子
激しく揺れる車体の上で、アキラがCWH対物突撃銃を構えて引き金を引く。発射された専用弾が群れの一体に命中する。子
アキラが険しい表情を浮かべる。
『CWH対物突撃銃の専用弾がちゃんと効いているな! 親よりは
子
アルファが険しい表情で話す。
『それでも倒せば減っていくわ。すぐに次を狙って』
『分かったよ!』
アキラはすぐに次の個体に照準を合わせて引き金を引いた。CWH対物突撃銃の専用弾の直撃を食らった個体が粉砕されて、機械部品を
別の個体が同種の残骸を踏み潰して次々に前進する。前進しながら砲撃を続ける。アルファが高度な運転技術でその砲弾の雨を回避していく。
周囲の爆音を肌で感じたアキラが、歯を食いしばってアルファに頼む。
『ちゃんと避けてくれよ!?』
『大丈夫よ』
『そうか!』
『あの程度の威力なら多少食らっても移動に支障はないわ』
『だから! それは! 車の話だよな!? 俺は!?』
『体に当たるのが嫌ならできる限り敵の数を減らしなさい。僅かでも数を減らしていけば、それだけ被弾する確率が確実に下がるのよ?』
『やれば良いんだろう! やれば!』
アキラが少し
それでも状況は改善していない。同種が倒されている間に他の個体がアキラとの距離を詰めていき、照準を少しずつ正確にしていく。一斉攻撃の前よりも、状況は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます