第2話

まぁ、「ありがとう」って、不思議でねぇ。


教室に入って来るとき、もともと「ありがとう」を纏っている人もいれば。


「ありがとう」が殆ど見られない人だっている。


でも。教室のなかに入ってしまえば、「ありがとう」は伝播していくんだよね。


混ざり合って、どれが誰の「ありがとう」だか見分けがつかなくなっていく。


まるで、化学の実験の、ビーカーに入った溶液のようだよね。


って、いつも思う。


まだらになった「ありがとう」が、ふよふよ漂ってるのを感じると。


ボクは、うとうと眠くなっていくんだよね。


と。


ふるふるー、ふるふるふるー。


眠っていたボクを起こす、合図が、発せられたよ。


「ありがとう」が、おおきく変化した。


もう、びっくりして、髭が、震えちゃうんだ。

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