第49話039「クラス対抗戦 -中編-」



「では、これよりA組とD組の対抗戦を始める⋯⋯⋯⋯⋯⋯試合開始っ!」


「はぁっ!」

「えっ⋯⋯」


 試合開始と同時にA組の一人がリンガに対して奇襲攻撃を仕掛けてきた。しかし、


 ガキンッ!


「なっ?! バ、バカな⋯⋯!!」


 リンガはA組の奇襲攻撃をしっかり・・・・と正面で受け止めていた。


「な、何故だっ?! 獣人のお前とハヤト・ヴァンデラスはただの⋯⋯ただの下級魔術士ジュニアじゃねーか! そんな下級魔術士ジュニアごときの身体強化で⋯⋯どうして俺様の⋯⋯B級魔術士クラスBで身体強化した俺様の攻撃を防いでいるんだぁぁぁぁ!!!」


 奇襲をかけたB級魔術士クラスBの生徒は本来であれば圧倒的な差があるはずの身体強化の拳を完全に受け止めたリンガに驚愕の表情を浮かべながら発狂していた。


「す、すごい⋯⋯」


 A組生徒の奇襲攻撃を受け止めたリンガ本人もまたそんな自分に驚いていた。


「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」」


 そして周囲で試合を観戦している他の生徒たちも下級魔術士ジュニアであるリンガに驚きの声を上げる。


「な、なんだ、今のっ!? あの猫型獣人、B級魔術士クラスBの奇襲攻撃を完全に受け止めたぞ!」

「あ、ああ。一体、どうなってるんだ?」


 会場のどよめきは舞台のA組のメンバーも同様だった。


「何だ? 何がどうなっているんだ?」


 カルロ・マキャヴェリが絶対に成功すると思っていた奇襲攻撃を防がれたことに若干の戸惑いの色を見せる。


「カルロ様! ど、どうしましょう?!」


 奇襲攻撃に失敗し、あたふたと狼狽うろたえる生徒が声をあげた。


「これしきのことで狼狽えるな、馬鹿者! お前は引き続き獣人娘を集中攻撃しろ! 残りの二人はイザベラとマリアンヌを抑えるんだ。そして私とヴェルヌーブでハヤト・ヴァンデラスとティアラ・ヴァンデラスに仕掛けるぞ!」

「「「はっ!!!!」」」


 カルロが即座に指示を出し、一斉に動こうとしたその時だった。


「油断大敵よ? あんたたち」

「というわけで、今度はこっちの番ですわ」

「「「「「!!!!!!!!」」」」」


 カルロたちが気づいた時にはそこにはすでにイザベラとマリーが接近し、


「「はぁっ!!」」

「「ぐはぁっ!!!」」


 一瞬で二人を攻撃しようとしていたA組生徒二人に強烈なボディへの一撃を与え、失神させた。


「やったー! 作戦成功!」

「奇襲攻撃を躱しての奇襲攻撃ですわ」


 イザベラとマリーが「イエーイ!」と手を叩いてお互いの健闘を称えた⋯⋯⋯⋯次の瞬間、


「あなたたちも油断大敵ですよ?」

「「え?」」


 二人が奇襲攻撃の成功で一瞬スキを見せたところにヴェルヌーブがスッと間に入り、二人の腹部に手を当てる。


双頭発勁そうとうはっけいっ!」


 ドスンっ!


 先ほどのイザベラとマリーの攻撃よりも数段重いとわかるほどの鈍く深い打撃音が会場に響く。


「か⋯⋯かはっ?!」

「あ⋯⋯ああ⋯⋯」


 イザベラとマリーがヴェルヌーブの一撃で膝をつき戦闘不能となった。


「イザベラ! マリー!」


 ティアラが思わず声をあげ、二人を倒したヴェルヌーブのところへ駆けつけようとした時だった。


「きゃあああああ!」

「!? リ、リンガっ!」


 ティアラが声のほうに意識を向けるとリンガが奇襲攻撃に失敗したA組の生徒に倒され戦闘不能となっていた。


「これで⋯⋯二対三だな?」


 カルロが余裕の笑みを浮かべながらハヤトとティアラに言葉をかける。


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