直談判

「納得が行かん!! 何故調査に俺を使って下さらないのか!!」


鶴帝国、 皇帝の居城コルサントの玉座の間にて

八十八剣聖序列八十二位『ナイフ』のソーラが鶴帝国皇帝女帝テタに直訴していた。

女帝テタはまだ14歳だがそれでも帝王学を学び、 鋭い眼光でソーラを射抜いた。


「ウィンドゥが決めた事だ、 文句ならば奴に言え」

「彼が決めた事を翻した事がお有りですか!!

下位の剣聖達に活躍の機会が無ければ何時までも序列は変わりません!!」

「八十一位のシャアクにも出番が有るではないか」

「あの女に実力が無い事は公然の事実でしょう!!

能書きが上位の者達に気に入られているだけです!!」

「力のみならず技や精神等も評価の対象になる」

「精神ですと!? そんな目に見えず比べられない物で優劣を競うと!?」

「少なくともこうして文句を言う貴様よりは精神的に優れていると思う

貴様もこうしていないでもっと自分を磨いたらどうだ?」

「自分を磨いても発揮する場所が無ければ無意味ではありませんか!!」


溜息を吐くテタ。


「何れにせよ、 出番が欲しければ上位陣に頼むんだな」

「納得が行きません!! 上位陣に気に入られなければ上に上がれないなんて!!」

「上に気に入られなければ出世出来ないのはどんな集団でもそうだろ・・・下がれ」

「しかし!!」

「二度は言わんぞ?」


皇帝を守るロイヤルガードが武器を構える。

ソーラは渋々と玉座の間を去った。


「納得いかん・・・」


ぶつぶつとソーラが呟きながらコルサントの廊下を歩き一室に向かった。

一室には彼の同僚である剣聖達が待っていた。


「ソーラ、 どうだった?」


序列八十三位『ポールウェポン』のリーアムがおどおどとソーラに尋ねた。


「駄目だ、 陛下はウィンドゥに言えの一点張りだ」


落胆をする一同。


「このままでは誇り高き八十八剣聖は上位陣の好きにされてしまう!!」


序列八十五位『契木』のパートラが吠える。


「その通りだ!! 武芸の冴えは我々の方が上なのに貴族出身だからと

不当に持ち上げられている者達が多過ぎる!!」


序列八十四位『熊手』のジェンパが追従する。


「全く持って同意見だね、 貴族のお飾りになり果ててしまう」


序列八十六位『アイスピック』のボビーが同意する。


「私より劣るシャアクが八十一位なのは納得が行かない、 同じ女なのに」


序列八十八位『含針』のアシュラが歯がみする。


「如何だろうか、 ここは我々だけで先んじて行動すると言うのは如何だろうか?」


序列八十七位『マカナ』のキアンが提案する。


「今回は無理だろうウィンドゥは既に調査に出発している

追いかけて先を越すのは無理だ」

「ならばシャリ王国の内情調査は如何だろうか?

魔王に侵略されているのは確実だろう、 何か情報を持って帰れば・・・」

「なるほど・・・良いかもしれないな」

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