とても幸せな夢であった

一方その頃、 闇のスシブレーダー達が捕えられていた区画

異常に膨張した空間は闇のスシブレーダー達が居なくなった事で崩壊し

残っていたおでぶちゃんとスシ生命体達は世界と世界の狭間に落っこちてしまった。


「すしー・・・」

「大丈夫にょー」


おでぶちゃんは勝手知ったる他人の家といった様子でにょにょにょと移動し

あっという間に自分が元居た世界に戻って来たのである。


「にょにょにょ・・・ただいまー」

「「「「「おかえりー」」」」」


おでぶちゃんと同じ様な姿の生き物がおでぶちゃんを出迎える。

間の抜けた顔の太陽が照らすのほほんとした世界である。

おでぶちゃんの仲間達がわらわらと集まって来る。


「すしー」

「にょー? 何その寿司みたいなのは?」

「スシ生命体」

「ほにょー、 変な生き物も居るにょー」


おでぶちゃんの種族は極めて強靭な肉体を持ち大食いだが

戦闘能力は皆無に近く極めて怠惰である、 スシ生命体を食べたくても

返り討ちにされてしまうし何よりも可愛いので食べない。


「何処に行ってたにょ?」

「スシブレーダー達の街にょー」

「にょー・・・良く分かんないにょ」

「にょー・・・おねむにょ・・・にょこいせっと」


横になるおでぶちゃん。


「にょおおおお」


そして欠伸をする。


「すしーすしー」

「よしよしにょー」

「すしー♪」


スシ生命体は如何やらこの世界でも生きていけるようだった。

おでぶちゃんにとって喜ばしい事だった。

やがてスシ生命体はこの世界の住人として認められ健やかに暮らしていくだろう。

この世界には沢山の食べ物が無尽蔵に沸いて来るのだ、 何一つ問題はない。


おでぶちゃんの世界はのほほんとしている発展はほぼ無いかわりに争いもほぼ無い

争いと言っても食べ物の取り合い程度の物で直ぐに仲直り出来る。

知能が発達し万物の霊長を自称する人類とは雲泥の差である。

果たして我々人類は争う為に成長するのか

何故仲良く出来ないのか、 争う為にスシを握るのか

愛らしいスシ生命体を生み出す事が出来るのに・・・

スシブレーダー達は争う事しか出来ないのだろうか?

スシブレードは争いの道具なのだろうか?

そんな難しい事を考えている内におでぶちゃんはすやすやと眠りに落ちた。


夢の中でおでぶちゃんは皆で仲良くごはんを食べる夢を見た。

闇のスシブレーダー達も普通のスシブレーダー達も

おでぶちゃん達も皆仲良く色んな物を食べている。

とても幸せな夢であった。


「むにゃむにゃ・・・もうたべられないにょ・・・」

「すしーZzz・・・」

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