バルトVSやみちゃん part1

やみちゃんの次元間スシ・フィールドに入ったバルトが感じたのは圧倒的な冷たさだった。

見渡す限り一面氷の地平線、 空には星一つ無い暗闇。

にも拘らず眼の前の視界は明るく視認が出来る。


「・・・・・」

「やみー!! やみー!!」


手をブンブン振り回しながらやみちゃんが喚いている。

そして時空がまた歪み氷が渦巻き二人の間には直径10mはあろうかという

円形の氷で出来た闘技場が形成された。


「この中でスシブレードで戦え、 と言う事か?」

「やみー!!」


肯定、 なのだろうか。

この空間が眼の前の少女が引き起こした事象だとバルトは理解し戦慄した。

流れた冷や汗が凍り付くような圧倒的冷気。


「・・・・・」


エッグヴィーナスを見るバルト。

果たしてエッグヴィーナスで勝てるだろうか・・・


『行こう』

「誰だ!?」


この空間には自分とやみーとしか喋らない少女しか居ない。

にも拘わらず確かに声が聞こえた。


『行くんだ、 私を信じて』

「私・・・まさか・・・」


そうこの声は・・・


「エッグヴィーナスなのか!?」

『そう・・・彼女を見なさい』


やみちゃんを見るバルト。


「やみー、 やみ~」


良く見ると血色が悪い、 震えている様にも見える。


「あれは・・・寒がっている?」

『そう、 彼女は闇寿司の力を自分の限界以上に引き出している

彼女も自分の力に蝕まれている・・・』

「これじゃあ彼女も危ない、 と言う事か?」

『そうだね、 だがしかし君とぶつかれば君の方が危ないだろう』

「じゃあ如何すれば良い!?」

『君の魂の熱さで暖めてあげれば良い・・・レーアが君にした様にね・・・』

「!!」


バルトは孤児だった自分がレーアに拾われた時の事を思い出した。

嘗ての自分は何故自分には親が居ないのか、 その事を悲しんだ。

しかしその事を表に出す事は無かった、 悲しみが増大し腹の中を渦巻いた。

そんな時にレーアに出会った、 彼女に拾われ救われた。

レーアの優しさにバルトの魂は救われたのだ。


「・・・・・そうか・・・・・」

「やみー?」


やみちゃんはスシブレード、 チョコソースがかかったアイスクリームを構えた。

バルトもエッグヴィーナスを構えた、 この一戦でこの戦争の全てが決まると言っていい。


「3, 2, 1, へいらっしゃい!!」

「やーみー!!」


バルトとやみちゃんはスシブレードを射出した!!

回転するエッグヴィーナス!!


「やみっ!?」


やみちゃんは驚いた、 自分のスシブレードと戦って動けるとは想定外。

今までのスシブレードは着地と共に凍り付いて終了だった。

それなのに動けるとは・・・やみちゃんは興味を抱いたのだった!!

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