ここからが本番だ

ファウンデーション教国軍の本陣にて。


「冷気と共に敵前線は混乱に陥っています!!」

「そうか!! あの冷気は敵のボスの仕業だったのか!!」


ナヴィックが叫ぶ。


「アクバー団長、 何とか目論見通りになりましたね」

「あぁ・・・罠も特に張られていなかったしな、 良かったよ・・・」


ほっと息を吐くアクバー。


「しかし敵も侮りがたし、 こちらの攻撃を相殺して防いでいる」

「凄まじいわね、 私達の矢だけなら兎も角モスマ達の魔法迄防ぐなんて・・・」


モスマとマリアムが嘆く。


「スシブレード、 侮りがたしだな」

「だがそれだけに偏るのは愚行以外の何物でもない」


ボークスは以前にも吐いた言葉を再度言う。


「しかしこのまま状況が膠着するのは宜しくない

バルト君が敵本陣に居ると言う事は周囲は敵だらけ

急いで攻めて助け出す必要が有る」

「それならば我々に任せて貰いましょう」

「カッソー、 何か策でも有るのか?」

「あぁ、 煙幕を張って敵の眼を晦ませよう」

「それには賛同しかねる、 と言うか逆効果だろう」

「何故だ?」

「敵の本陣から冷気が此方に来ている、 つまり此方が風下と言う事だ

煙幕を張ったらこっちに来る」

「なるほど・・・では焼夷弾を打ち込もう」


焼夷弾と言われて科学的な物を想像する読者諸賢も居るかもしれないが

焼夷兵器自体はギリシア火薬等が昔から存在している為

手投げ弾の様な焼夷弾は存在する。

とは言えコストが高いのが難点だが・・・


「いや、 こちらの行軍の邪魔になるからそれも止めておこう」

「そうか・・・では攪乱するだけにしよう」

「それで頼む、 では此方も備えの騎士達に伝令を出して兵を進める様に通達!!」

「はっ!!」


伝令兵が去って行った。


「この戦い、 勝てるか?」

「・・・・・分からん、 敵本陣から冷気がここまで届くと言う事は

敵本陣にはかなり強大な力を持っているスシブレーダーが居ると推測する

バルト達が倒せれば良いのだが・・・」

「バルト達が倒せなくとも我々は歩みを止める訳にはいかない!!」


アクバーが叫ぶ。


「そうだな・・・」

「報告します!! ゾーバ殿が交戦中!! 如何やら敵の中でも手練れの模様!!」


伝令が叫ぶ。


「・・・増援を送るか?」

「あぁ、 ゾーバ殿の居る場所は主戦場から離れているだろう?」

「は、 はい!!」

「ならばそこにこそ焼夷弾や火炎放射を使って貰おう」

「分かった準備する!!」


カッソーが外に出る。


「ここからが本番だ、 皆、 気を抜くな!!」

「「「「おおっ!!」」」」


叫ぶ一同だった。

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