昭和アイドル令和アイドルになる!?
バビブ
第1話 昭和アイドル清水香奈子
今日はお茶の間に大人気の金曜生放送番組“ザ・ソングパレード”の収録日。
煌びやかで華やかなセット、生演奏の奏者たちもスタンバイ済み。
今日は白いフリルのワンピース、化粧はちょっと控えめ。
聞こえてくるファンの歓声。
ここは、私の大好きな居場所。
「それでは、登場していただきましょう!今週のシングルランキング1
司会者がコードのついたマイクをもって私の名前を呼ぶ。
今日は初披露の曲だからちょっと緊張しちゃうな。
白いハイヒールを鳴らし数歩、歩いた瞬間。
目の前に知らない男性。
誰だろう。
スタッフさんかな?
そう思った瞬間、腹部が急に熱くなって痛みが走る。
「香奈子!僕の香奈子なんだ!!!どうして裏切った!
ああ…、週刊誌のやつね?
俳優の室井との会食デートとか書かれてたけれど、あれはスタッフさんもいたのよ?
あんなのでたらめなのに、教えてあげたいくらい
そんなことを考える私を他所に、身体はどんどん力が抜けていく。
白いフリルのワンピースに広がっていく赤い染み。
刺されちゃったんだ、わたし。
まだ歌っていたいのに…嫌だなぁ…。
駆け寄るスタッフや警備員が端に見えたところで
私の記憶はぷつんと切れた。
「…み…!!おい!」
だれか呼んでる、誰かしら。
病院についたのかな?
「君!!起きろ!!おい!」
目を開けるとしらない天井と無精ひげを生やした肩まで伸びたストレートのおかっぱ黒髪の若い知らない男性。
「だれですか……?」
私がそう答えると無精ひげを生やした耳までかかったおかっぱ頭の若い知らない男性はきょとんとして眉間に眉を寄せて言葉を返す。
「不法侵入だぞ!誰かしらないけどここで寝るなら警備員を呼ばせてもらう。君、名前は?歳は?」
やだ、病院じゃないの?
「……
ようやく身体の自由が効き起き上がり、周りを見渡すと知らない場所で困惑する。
とにかく、刺されてからどれくらいたったか聞かないと
「あの…いま何月の何日ですか?」
「8月の21日だよ」
「え!!!!さ、3か月も眠っていたんですか私!?早く事務所に連絡とらないと!」
「事務所?君、芸能人かなにかなのか?とにかく、出て行ってくれるなら有難い。ほらスマホ貸してやる」
「す、すまほ…?」
初めてみる機械に困惑しながら明るい画面に映る西暦に目を見開き
「2020年…8月21日…?あのこれ壊れていますよ?だっていまは1982年…」
「何言ってるんだ君は」
また無精ひげのおかっぱ頭の男性はきょとんとして言葉を続ける
「いまは令和2年の8月21日金曜日だぞ?」
どうやら昭和アイドルの私は令和という時代にタイムスリップしてしまったみたいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます