ときめきポップコーン(シナモン味)

ミンチステーキ!

第1話

ここはブリッツ学園。元気な男女が通う高校である。


赤い煉瓦造りの校舎に太陽光パ ネル付きの屋根のちょっと変な学園に私【青井 花(あおい はな)】は今日入学するのだ。


太陽が空から顔を覗かせていて、絶好の入学式日和だった。

青井は、アドベント学園の前で深呼吸をしていた。


「今日から、高校デビューよ。頑張ろう!よし、頼もうー」


叫びながら、校門をくぐる青井を出迎えたのは太陽光だった。


「うわっ眩しい!」


思わず目を閉じてしまった。すると、そのまま前を歩いていた人にぶつかってしまった。


「ごっごめんなさい。私、なんだか眩しくて、目を閉じてしまって…。」


青井は、ぶつかってしまった相手の顔見て謝ろうと恐る恐る顔を上げる。


しかし、恐る恐る開けた目にまたもや太陽光が降り注いだ。


「ごめんなさい。私には、高校生活は眩しすぎるのかもしれません。目が中々開けられないです」

と言いながら、また目を瞑ってしまった。


「はははっ面白い人だな。僕で良ければ、校舎まで手を引いて連れて行きますよ。」


野太い声が聞こえた後すぐに自分の手が、軽く触れられたことが分かった。


(この人が運命の人でありますように…)


そう願いながら、青井は突き出された手をしっかりと握った。

周囲の人の声が聞こえてくる。


まるで、入学式から手を繋いでいる私達について、喋ってるみたいでとても恥ずかしい思いだった。

そんな事を思いながら、手を引かれてしばらく歩くと、急に目の前の人の動きが止まった。


「はい。下駄箱だよ。影だからもう眩しくない筈だよ。じゃあ僕は自分の教室に行くね」

そう言って手を離された。

お礼を言おうと青井は顔上げた。


しかし、その後のお礼の言葉は青井の口から出ることはなかった。

青井の目に飛び込んで来たのはハゲた男の後頭部だった。

高校1年生には、衝撃過ぎて言葉を奪うのには充分だった。


そしてそのままその男は、校舎の中へ入っていき姿が見えなくなった。


(あれが私の運命の人?そんな……てゆーか眩しかったのってあいつのせいじゃない)


そんな事を青井は考えながら下駄箱に立ち尽くしていた。


頭頂部からハゲて周囲に申し訳ない程度に生えてる髪の毛は、風に揺れていた。



【青井 花(あおい はな)】高校最初の想い出である。

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