第14話 妻の心
妻に申し訳ない。
自分と結婚したばかりに、
こんな人生になってしまって。
妻は言う。
僕を実家に返して、
この家のローンと妻の生活費は、
妻自身が稼ぐ、と。
病気の僕がいると、フルタイムで働けない。
パートを掛け持ちする、と。
僕は、実家で、
最低限の自分の必要な分だけ、
稼いでいて欲しい、と。
この家は、老後に必要な資産だから、と。
僕が、治って普通に働ける日がきたら、
また、この家で会おう、と。
…妻に、そんな事まで、気負わせて、
背負わせる事なんて、出来ない。
妻が、可哀想だ。
僕と結婚したばかりに。
妻は、僕の前では、気を強く持っている。
多分、妻も、不安だと思う。
妻は、もしかしたら、
本当に、別々でしばらく暮らす事を
もう、心に決めているのかもしれない。
もう少ししたら、
妻の顔を、毎日、
見れなくなるのかもしれない。
今年の大晦日は、
隣に妻がいないのかもしれない。
そんなの、嫌だ。
妻よ、心が苦しいよ。
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