第4話 わかったこと
夕方、会社を早めに終わらせた。
裁量労働制とテレワークだから、
私用は、調整がつきやすい。
夕方から、妻とクリニックに行った。
意外だったのが、
クリニックの待合室には、2、3人いた。
自分以外にも、患者さんがいた。
問診票を、妻と一緒に書いた。
診察室に呼ばれた。
問診票を見ながら、僕に質問をしてくる。
観察もされている。
質問が一通り終わり、
会話がある程度された後、僕から聞いた。
僕は、うつ ですか?
『うつ ですね。』
涙が、自然に出てきた。
理由は分からない。
うつ病ではないが、
なりつつある ぐらいの度合いかと、
思っていた。
初診で、うつ病と言われた。
そんなに、病状は進行していたのか。
『まず、睡眠。休む事。
薬があるから、眠れるようになる。
不安になった時、飲む薬もだす。
2週間後ぐらいに、一度、様子を見る。
薬が効いて、治ってくれば、思考も変わる。
責任感が強すぎる。
今は、判断しちゃダメ。
信頼出来る上司に、
自分から相談出来るようにもなる。』
…信頼出来る上司はいない。
むしろ上司は危ない。
チャキチャキの仕事人間だ。
管理職肌ではない、プレイヤー肌だ。
周りに聞こえる声で、
よく自席で部下を叱責している。
僕に対しては、
基本、放置プレイだが、一度だけやられた。
意図的に感じた。
他の部門からの評判も、誰に聞いても、
100%、悪い話しか聞かない。
退職者も、この2、3ヶ月、
連続して、複数名出ている。
会社のTOPは、周囲の人が伝えて、
この上司の件を知っているはずだが、
何も変わらない。
会社は、1000人以上、社員がいる大企業だ。
事なかれ主義なのか。
または、
売上を上げない内政は、無関心なのか。
相談出来る上司がいたら、
こうなっていない。…かなり怖い。
『人事部は?あるんでしょ?』
以前、上司から、1on1ミーティングの時に、
人事部長が、僕の給与は高くないか?
と言っている と、聞いた。
そんな人事部長だ。
それを本人に言う上司も、上司だが。
どこの会社の部署だ?と思うか、
それとも、
どこの会社でもある話で、
これが普通なのか。
医者には、
上司と人事部については、
言葉を濁しておいた。
本当に治るのか?
治っても、以前のような、
仕事のパフォーマンスを発揮できる
自信が全くない。
以前の僕は、別人だったと思う。
ただ、医者は、
妻と同じ事を言っている。
僕の責任感が強いと。
薬を飲んで、治る頃、
考え方も変わっていると。
…寝れるようにはなるだろうが、
考え方まで、薬で変わるものなのか?
考え方が変わらないから、
このうつ病は、
治らないんじゃないかと思っている。
転職も、年齢的に無理だ。
そもそも、うつ病と知った今、
転職先に黙って面接や入社はマズイだろう。
住宅ローンが終わるあと10年ぐらい、
今の会社で辛抱するしかない。
最悪、本当に治らない時は、
会社に伝えて、
仕事を変えてもらうしかない。
そうなると、
仕事が調整され、
給料はガツンと下がるだろう。
結果、生活は苦しくなり、
妻を幸せに出来なくなる。
会社に言わず、
10年、辛抱するしかないのか。
…元に戻って、八方塞がりだ。
ただ、まずは、薬を使って、
睡眠から始めようと思う。
妻もそう言っている。
僕は、うつ病だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます