ネットで無料で簡単に稼ぐ方法を試していたら小説投稿サイトにたどり着いた

 私はネットの世界が好きだ。今まで無料のチャットやオンラインゲーム、SNSなど居場所を転々としながら常に誰かと喋っていた。

 いわゆるネット弁慶であり、ネット上ではそれなりに強気でいられる。

 そこであるときふと思った。ネットで稼げたら良いのではないかと。


 今まで心の拠り所だったネットで稼ぐなんて、まるで親友から突然金を巻き上げるようで、なんとなく後ろめたい気もした。しかしよく考えてみたら別にそう思う必要もないと思った。今やネットは一つの大きな国みたいなもので、どこでどう過ごそうが自由である。


 ということでまず一番最初に試したのはポイントサイトとアンケートサイトだった。



 ポイントサイトは買い物をするとポイントが貯まるというポイントカード的な使い方がメインだと思うのだが、毎日広告をクリックしたり、ゲームをしたりといった無料の作業で数円を稼ぐこともできる。


「無料で、簡単に稼げる」というところに惹かれた私は、有名なポイントサイトに登録した。簡単な作業ということもあり、得られる金額は思ったより少なかったが、毎日五分ほどポチポチ押しているだけで気づけば千円貯まっていたりするありがたいサイトで、今でも続けている。


 こういうのに登録するときは有名なのがいい。「ポイントサイト おすすめ」などで検索すると大体同じ名前のポイントサイトが並んで出てくるので、気になる方は検索してみてほしい。


 ただ、ポイントサイトに限らずアンケートサイトなどでもそうだが登録すると大量にメールが届くサイトもあるので、捨てメアドを使うなどしてメインのメアドを埋め尽くされる危機を回避した方がいい。



 次に私が登録したのはアンケートサイトだ。名前の通り送られてくるアンケートに答えるサイトである。ポイントサイトでもアンケートに答えられるコンテンツがあるが、やはりアンケートサイトの方がアンケートメインなので送られてくる数は多い……はずである。


 このアンケート、ネットを通して回答するものだけでなく、電話で回答するものや会場へ出向いて答えるものもあるようだ。会場へ出向いて受け答えをするものなどは比較的高い報酬を得られるそうで、拘束時間が少ないわりにけっこう稼げるのでバイトより割がいいかもしれないなんて話も聞いた。


 ただ私はネット弁慶なので、何かよく分からないものに参加することはできずネットでポチポチアンケートに答えていた。


 そんなアンケートサイトでの活動は長続きせず、そのうちやめてしまった。

 あまり思い出せないことや考えないといけないことなどをアンケートで多く尋ねられて入力が面倒になり、広告をクリックするだけで数円稼げるポイントサイトの方が楽でいいと思ったからだ。



 さて、ポイントサイトやアンケートサイトと同時に私はブログアフィリエイトも始めていた。自由にブログを書いて報酬を得られるのなら楽でいい。私はまずASPに登録し、気になる広告をブログに貼り付けて紹介した。


 ただ成果は一向に出なかった。自分が使ったものでもなく知っているものでもないものを紹介していた私は、勝手なことを書いてトラブルになるのを恐れて、広告主の公式サイトなどからほぼ丸写しした文章を書いていたからだ。


 オリジナリティがなく口コミや感想でもない文章では、宣伝の意味がない。ということでアクセスはさほど増えなかった。



 しかしアフィリエイトは諦めきれない。次に私は大手通販サイトのアフィリエイトプログラムに登録した。

 ネット弁慶のくせに機械オンチの私はネットで買い物をしたことがなかったが、大手通販サイトには私の知っているものが多くあった。その中から何でも自由に選んで広告を貼り付け、宣伝できるのだ。


 これなら私でも紹介できる。私は好きな漫画や本、映画など、思いつく限りのアイテムの広告を貼って宣伝した。大手通販サイトの報酬率はそんなに高くないが、その代わり安心と信頼のブランド名がある。怪しまれてクリックされない確率は減るだろう。


 さらに広告をクリックした人が一定時間内に他の商品を買った場合、その商品まで私が紹介したことになり紹介料が支払われるシステムになっている。初心者にとってはありがたいこと尽くしではないか。私は紹介料獲得に燃え、書き続けた。



 ただ書いても書いてもアクセス数が上がらない。なぜなのだ。


 検索してみると、本の紹介ブログではなかなか稼げないという情報が出てきた。好きな本を検索するのは主にそれを読み終わったあとの人だし、買われることはないのだとか。

 なるほど。ネタバレしてきそうなサイトをわざわざ覗く人はいないということか。


 たしかに、健康食品とかサプリとかダイエット器具とかなら、使ってみてどういう感じだったとか隅々までネタバレしてほしい。気になる商品のネタバレをいくつでも読み、吟味するだろう。でも漫画や本や映画は中身が命であって内容を知らないからこそ買うのだ。それを「ああなってこうなる映画でした」と書いて広告を貼り付けたところで意味がない。



 それから私がアフィリエイトに使っている無料ブログは、SEO対策的に弱いという情報もあった。


 SEO対策とは……アフィリエイトについて調べているとよく出てくる言葉だ。どれを読んでも難しくて何を言っているのかよく分からないが、どうやら「特定のキーワードで検索されたときに自分のブログやサイトを上位表示させるための対策」ということらしい。

 タイトルなどを工夫することにより、検索エンジンに「質の高いサイトである」と評価され、上位表示させてもらうことができるのだ。


 ただこれ、どんなサイトでも頑張れば上位表示されるとかいうものではないらしい。アフィリエイトのプロの人は基本、無料ブログをアフィリエイトに使わないようなのだ。独自ドメインだか何だかがある方が有利らしい。


 私が使っている無料ブログは、中でもSEOが弱いという情報があった。検索結果にその無料ブログが表示されることがほぼないのが証拠だとか。

 なるほど、たしかに使い始めるまで私はそのブログの名前も知らなかったし、有名ブログではない。それはSEOが弱くて検索に出てこないことが原因だったのか。



 それでも私は粘った。紹介できるアイテムが底をついたので、雑記を量産し、そこに広告を張り付けたりしてページ数を増やした。数打ちゃ当たると思ったのだ。



 するとある時突然奇跡が起きた。


 村でどうぶつ達と楽しく暮らすほのぼの系ゲームについて書いたブログが、いくつかのキーワードで上位に入るようになり、毎日百以上のアクセスが入るようになったのだ。


 元々そこそこのアクセス数だった記事だが、世界的に外出を控えざるを得なくなる歴史的大事件が起こったことでゲームの売り上げが上がり、そこに新作発売が重なったことで、どうぶつのゲームが大ヒットした。私がブログに書いたのは旧作のことだったが、シリーズ共通の話題だったらしく、結果的に私のブログのアクセス数も上がった。



 今までよく分からなかった「SEO対策」と向き合い、タイトルにキーワードを詰め込み、別のブログからリンクを貼り続け……そこにたまたまいくつかの条件が重なった結果だった。


 インターネットは見るもので、自分が発信するものではないと思っていたあの頃はこんなことになるなんて想像もしていなかった。検索結果の上の方に自分が書いた文章が出てきたときは感動した。



 タイトルは非常に重要だ。中身が充実した文章でもタイトル次第で検索に出たり出なくなったりすることがあるらしいのだ。今までに書いた記事のタイトルを変えた途端、人が来るようになったということもあるほどだという。


 また、リンクを貼られることを「被リンク」といい、質のいい被リンクをたくさん受けたサイトは検索エンジンから「質のいいサイト」と評価されるらしい。つまり検索結果で上に出てくる可能性が上がるとか。


 あと、あまりに有名だったり人気だったりするキーワードでは、自分のブログが上位表示される可能性は少ない。たとえばゲームの名前そのものとか。だからちょっと脇道にそれ、ニッチなキーワードで狙った方がいいらしい。


 その両方を踏まえてブログを書いたから当たったのだと思う。「そこそこ人気で検索されるワードなのに、書いている人が少ない」穴場だったのだ。



 ここにくるまで長かった。

 SEO対策なんてサッパリ分からなかったけれど、今は少しSEOと分かり合えた気がする。


 ……しかし。


 一つの記事のアクセス数が百を超えたことは自分にとっては大事件だったのだが、百くらいではアフィリエイトには関係なかったらしい。なんと成果はほとんど出なかったのだ。



 ブログ全体のアクセスを合わせると二百、三百ある日もあった。六百アクセスを超えた日もあった。投稿し続けた記事数はいつしか365を超えた。


 ……来る日も来る日も、私は成果を待ち続けた。

 それでも成果は結局、今までのを全部合わせて千円未満だった。



 これでは、アフィリエイトとほぼ同時に始め、何回か千円貯めて換金しているポイントサイトの方がよっぽどいい。


 才能のないアフィリエイトはギャンブルと一緒だ。私は今、「こんなに書いたんだから諦められない」と意地を張るギャンブル依存症なのだ。これ以上続けていたら、本当に抜け出せなくなる。


 私は……アフィリエイトブログに対して距離を置いた。



 そして私は今、カクヨムにいる。光に集まる虫のように、カクヨムロイヤルティプログラム(アクセス数によって報酬をもらえるシステム)に吸い寄せられたのだ。


 ここではみんな星が欲しいようだ。私も欲しい。そう思って自信作の小説を放ったが、文章が稚拙だったためか、土台を築いていないためか、アクセスはあんまりなかった。


 そこで最近気づいた。多くのカクヨムユーザーに読んでもらいたいなら星が必要で、ランキング上位を狙いたくもなるけれど(星の数とランキングに関係があるかどうかはよく分からない)「別に誰でもいいから読んでもらいたい」なら星はあってもなくてもいいのでは?


 検索から外部の人に来てもらうことを目的に書くこともできるかもしれない。「星は全然ないけどアクセス数がやたらと高いページ」を目指すことも可能かもしれない。私は新たな挑戦を始めた。



 カクヨムはSEO的に弱いという情報もあった。たしかに、NOTEとかなろうとかはよく目にしたけれど、カクヨムに来るまでカクヨムのことは知らなかった。


「カクヨム ◯◯」で検索すると作品がいっぱい出てくるが、「カクヨム」を入れないとあまりヒットしない気もする。


 でも注意深く見ているとどうもそうでもない。「カクヨム」というキーワードを入れずに検索しても、キーワードによってはちらほらカクヨムがヒットした。別に検索で出てきにくいわけでもなく、主に書かれる内容が情報ではなく小説だからヒットしにくいだけではないのだろうか。



 改めてアクセス数の少ない自分の作品について考えてみると、タイトルもキャッチコピーも特徴がなく、検索にヒットしそうな要素がなかった。

 でも作品名で検索したらちゃんと出てきた。作品は生きているのだ。もうちょっと特徴を加えれば、タイトル名だけでなく他のキーワードでもヒットするのではないだろうか。


 書いても書いても検索に載らず、一言一句間違えずにタイトルを入力しても検索に出くることがなかった、かつてのアフィリエイトブログよりよっぽど強い(ゲームの話で当たる前はそんな感じだった)。


 そういえば最近やたらと長いタイトルの小説が流行る傾向にあるようだが、これもネット社会ならではの対策ということだろうか。今まで気づかなかったがSEO的な意味があるのかもしれない。



 ということで私はアフィリエイトの失敗を生かし、検索にヒットしそうなタイトルにこだわってカクヨムで活動することにした(こだわるのは主にエッセイで)。アフィリエイトブログは今、私の創作の進行状況を伝えるブログとして使っている。


 いつかうだつが上がることを願って……。

 今日も私は書き続ける。





関連ページ


「カクヨム・アルファポリス・ノベリズム(時々pixivやnoteなど他サイト)の研究エッセイを連載中」

https://kakuyomu.jp/users/mamimujina/news/16816452220615877775

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