手放したゴミの最後

「もし屠殺場がガラス張りならば、みんながベジタリアンになるだろう。」と言ったのはポール・マッカートニーらしい。


 それとは関係ないだろうが、この間思った。

「もし、ゴミに出す物の最期を自分の目で見届けるとしたら耐えられないだろうな。」と。


 この間、長年使っていたパソコンを電器屋で引き取ってもらった。色んな人との出会いや別れを経験した、思い出のパソコンだ。


 引き取ってもらった時は寂しかった。

 でも最期を見たわけではない。私の中ではあのパソコンは今でも、パソコンの形をしたままなのだ。


 それがもし目の前で破壊されていたら……。

 ショックだと思う。


 パソコンだけでなく、家や、家具、本なども。

 どんなに思い入れのある品でもいつかは役割を終え最期を迎えるのだ。

 どんな最期を迎えるのだろう。


 できれば安らかな気持ちであってほしい。

 できれば未来があってほしい。

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