知らない街

たーとるねっく

乗車

自分は汚れなんてなかった。

世界中が汚れていた

巡りあうことしかできない。それは循環とは言わない。




人生なんてかくかくしかじかでまとめられるくらいのものなんだよな。


と俯きがちに電車に乗る。安全用のゲートもついていない駅。周りは世間に取り残されているように感じる。プシューと鳴り閉まるドアの端に寄りかかる僕を連れていく。張り巡らされた線の上を脈を打つ。流行りも廃りも巻き込んで、混ぜ込んで、ゆっくりと、しっかりと浸透していく。


僕は、また、汚しに行くのか。


燻ぶった心の声が音の鳴っていないイヤホンに静かに、静かに、深く、深くに響く。

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