第52話 彼女の気持ち 九

 そして、最後のデザートは…、桃のシャーベットだ。

 そしてこのタイミングで、恵麻が和紀に持って来ていたプレゼントを手渡す。

 「和紀さん、これ、受け取ってください!」

そして和紀が中身を開けると…、そこにはシルバーのネックレスが入っていた。

 実は和紀も、この時恵麻にプレゼントを買って来ていたのだが、それも同じようなネックレスで、たまたまペアルックのような形になった。

 「あ、何かお揃いみたいですね!」

「はい、ちょっと恥ずかしいですけど。」

そう言って2人は、笑う。

 その後デザートを食べ終わって帰る前に、恵麻が和紀に語りかける。

 「和紀さん、私、和紀さんに聞いて欲しいことがあるんです!」

「聞いて欲しい、こと?」

「はい。

 何か付き合ってる人に言うことではないかもしれないんですけど、私、今まで何人かの人と、お付き合いしたことがあります。でもそんな恋はうまくいかずに、今日まで至っています。

 でも、私和紀さんと出逢ってこう思ったんです。

 人間、『今』が1番大事なんじゃないか、って…。

 和紀さんも、今まで他に彼女さん、いたんだろうなとは思います。でも、私はそんなこと気にしません。私は、和紀さんと付き合っている今、そしてこれからの『未来』を見ていきたいんです!

 だから和紀さん、私といる『今』を大事にして、私と付き合ってくれませんか?」

その言い方はストレートで、恵麻の眼差しもまっすぐしたものであった。

 またそんな恵麻の態度に和紀はドキッとする。

 「もちろん今すぐとは言いません。でもいつか私が、和紀さんの隣で笑っていられるように私、頑張りたいと思います!」

次の恵麻の発言もストレートなもので、さらに和紀はドキドキした。

 「さ、帰りましょっか!」

恵麻がそう言い、2人は家路についた。

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