第4話 この世界で 続

 通行人から話を聞いた後、、、

 辺りが暗くなりはじめました。


「今は西暦2103年か...。」


……?


「ん、あぁ少し考えごとをね。」

「そうだ!助手くんにも一緒に考えてもらおう。1人より2人。それに助手らしいこともしてもらいたいしな。」

「辺りも暗くなってきたから宿を探そう。そこで考えをまとめようじゃないか。」


………?


「お金はどうするのか、だって?」

「フフフ...私を誰だと思っているんだい?今まで、いくつもの『世界』を生き抜いてきたんだぞ?まぁ、私に任せたまえ。君はすでに大船に乗っているんだ!!!」


……


「なんだいその顔は。泥船じゃないからな!」


……フッ


「なんでそこで笑うんだ!馬鹿にしてるのか!」

「今に見ていろ。すぐに泊まれる所を見つけてやるからなあ!」



 あれから1時間、今だに見つかる気配はありません。


「ぜぇぜぇ...。なんでなんだ!なんで悉く断られるんだ!いつもなら成功してるはずなのに!」


 1時間前...


 コンコンッ


「こんな夜中にどなたー?」


「すみません。今日泊まれる宿を探しているのですが、どこもダメで...。ここに一晩泊めさせてもらえないでしょうか?」


 少女が豪語していたほどの方法。それは、

 ボロボロの服、ボサボサの髪、今にも涙が流れそうな大きな瞳...

 いわゆる、情に訴えかけるというやつでしょう。......ちょっと卑怯ですね。


「ご...ごめんなさい!!」


 バタンッ!!!


「...」


「へ...?」


 そして現在...


「なぜだ!何か理由があるはずだ!なんだ?なにかいつもと違うところが......ハッ!」

「君だ!君がいるからだ!」

「こんな見るからにみすぼらしい少女の横に、元気いっぱいそうな笑顔をしているやつがいたら!そらそうだ!気味が悪い!みんな断るはずだ!」


……、、、


「むっ...」

「ま、まぁいい。今回は私のミスだ。これを計算にいれてなかったのが悪い。」


……


「ん?危ないからやめてほしい...だって?確かに危険ではあるが、今まではこれで済んでいたんだ。今回も大事はないだろう。」


……!!


「わ、わかった!わかったよ。もうこんなことしないから、あんまり怒鳴らないでおくれ。助手に怒られるなんて恥ずかしいぞ。」

「と、とりあえず公園だ!公園のベンチにでも座って休もう!そこで明日に備えよう...な?」


……


「うおぉ...。全然嫌がらないのだな君。」

「それは頼もしいことだ。もう真っ暗だな。早めに見つけるぞ、助手くん。」


 運がいいのか悪いのか、公園"は"数分で見つかりました。


「ふぅ、、疲れた。風呂に入れないのが残念だがここは我慢だ。休めるだけ良しとしよう。」


……


「そうだな。これから少し難しい話になると思うが、大丈夫かい?」


……!


「お!少し頼もしくなったんじゃあないか?いいことだな。」


「よしっ。まずは...」

「夕方ごろの話でわかったのは、この『世界』は"西暦2103年"...おそらく、君のいた世界の約100年後の『世界』だ。」

「一度、この話しは置いといて...」


「私は君に言ったな。"私が生まれたのには何かの理由がある"と。そして今、私はこうして『世界』を渡り歩いている。」

「これを私は"因果"だと考える。」

「簡単に言えば、物事には必ず何か理由があるということだ。」

「過去にでも未来にでも、『世界』に何かの"因果"があって私はここにいるのだろう。そうでなければ単なる偶然か...。それにしては出来すぎている。」

「記憶のない私、『世界』へ移動できる白い空間、"世界を見届ける"という強い確信。これだけでも偶然に出会うことは、まず無い。偶然ではない、必然だ。」


 あなたは必死に話についていこうとしています。助手として、少女のために頑張ります。

 その様子を見て少女は安心して次の話に入る。


「そうなると、私と君の出会いも何かの因果がある可能性が高い...が、これは分からないことだらけだ。考えるのはよそう。」


「話を戻すぞ。このことから私は、この『世界』に来れたのは、君という人間がいたからだと考えている。」

「この『世界』は"西暦2103年"、そして君の世界に酷似している。」

「君の世界の歴史のなかでの重要な場面、そこが、この『世界』が出来上がった分岐点だろう。でなければ、文明の発展に100年の差もでないだろう。」


「以上の事から」


少女はニヤリと笑う。


「明日は図書館に行こう!」


……???


「なにを言っているんだって顔だね。」

「なに、簡単なことだ。歴史を調べて、文明が遅れた原因を探すことで、君の世界の歴史を逆算で導き出せるのだよ。」

「そうすれば、元の世界に戻る"第一歩"になるだろうね。」


…………?


「まだわからないのかい?そうしたら明日、図書館で実践してみよう。百聞も一見にしかず。だよ。」

「あー!疲れた!こんなに喋ったのは久しぶりだ。」

「君に会ってからというもの、久しぶりだと思うことが多いな!」 


……


「いいや、君を責めてる訳じゃあない。むしろ、お礼が言いたい。ありがとう。」


「ーっ!」

「今日はもう寝よう!おやすみ。私は寝るからな。君も早めに寝たまえ、明日に支障がでるからな。」


「………………」


 静まり返った公園。少し肌寒さを感じながらも、疲労が溜まっていたのか、瞼が重たくなります。

 また明日、忙しくなるでしょう。

 あなたは少女の隣で眠りに落ちました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る