Lemon

 あなたの夢を見た朝、昔と今を履き違える。

 幸せってやっぱりあなたのこと。

 あなたは光。

 傷はあなた。


 悲しみも苦しみも、あなたのことだった。

 苦いレモンの匂いを雨は消してくれますか。

 雨上がりの光は足もとを照らすだろうか。


 あなたの輪郭。

 涙の伝った痕がそのまま傷痕。


 あなたは今、幸せですか。

 わたしは、私の光はあなた。


 あなたへの恋は純度が高く、それは時が経つほどに色濃く、匂いも濃くなっていく。

 忘れるなんてできない。

 どうしたらいいのかな。


 あの日の悲しみ、苦しみ、あなた。

 苦いレモンの匂いはあなたの象徴。


 二つに割った果実より、悲しみはあるだろうか。

 その果肉の断片をわたしは見つめることしかできなくて、それを嗅いでも泣いてしまうし、食んでもまた同じように泣いてしまう。


 あなたは光。

 傷はあなたそのもの。


 わたしの神聖な瞬間を切り取る、わたし。

 わたしの過去のあなたは光そのもの。


 あなたの夢を見た朝はやっぱり幸せな気分なんです。

 あなたがわたしの元に存在していたという過去が光。

 あなたを愛せた私の過去こそが、光。


 今夜ももしかしたら見るかもしれない、私の曖昧な希望なんです。

 

 わたしのことは、忘れてもいいんですよ。

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