21th Ambushed.

右側面を迂回して右端の敵戦車に刀を突き立てた時だった。


『奇襲!奇襲です!一旦ミッションは破棄して!!撤退!!撤退!!』エレナから慌てたように通信が入った。


 コンソールには“高高度超音速輸送機”が急速に接近していることが示されていた。間髪入れず頭上から一機が下降してきた。


『敵機兵1!!ネームドです!!』


 地面を蹴ると直ぐに上昇して高度をとった。

 敵機は急速に下降しながら抜刀した。こちらも刀を返し、刀と刀が衝突すると付近に衝撃波が発生した。こちらは機体ごと弾きとばされた。地面スレスレに逃げながら機銃で弾幕を張ったが敵機は構わず突っ込んでくる。

 俺は即、コンソールから後方の退避地点とモードEMERGENCY《エマージェンシー》を指定した。ピコンと了承の電子音がなる。

 見る見る眼前に迫る敵機にロケット弾を放った。敵機は速度を落とさずにロケット弾を切り払うと返す刀で斬りかかってきた。こちらも一旦刀で受け止めたものの刃先ごと右腕が斬り落とされた。すぐさま腰部ロケット弾を左右から発射するも敵機は後ろにスッと距離をとってなんなくかわした。

 眼前で射出したロケット弾同士が衝突すると空中で爆炎を上げた。爆風で後ろに弾き飛ばされる。機体を捻りながら後方を向くと全速で逃げ出した。

 敵機はその場で何発かロケット弾を打ち込んできたがこちらには届かなかった。こちらの機体は前面と側面が焼け焦げ、バーニアも限界を越えて唸りを上げている。

 コクピットがガタガタ振動する中、意識が朦朧となりながら後方を見ると敵機の赤い目が煌々とこちらを見ていた。

 

 

 俺は意識を失った。

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