第74話 初詣②
神社はかなりの人でいっぱいだった。
早速参拝しに行こうと歩く。
すると遠くから俺を呼ぶ声が聞こえた気がした。
「るき〜春樹〜!!」
声の聞こえた方を見ると、秋大と楓がいた。
「あっ!楓ちゃん!!」
「七菜美ちゃん!」
互いに小走りで近づく。
「まさかこんなとこで会うとはな」
「そうだな。あけましておめでとう。今年もよろしく」
「「よろしくお願いします」」
新年の挨拶を済ませ、一緒に参拝することになった。
「おいおい、俺を忘れてないか?」
「あっ!駿介!」
「よっ!今年もよろしくな!」
「よろしく〜あれ?でんちゃん私たちに会わなかったら1人だったんじゃ……」
「う、うるせー!!」
「「「「あははは!」」」」
駿介にはまだ彼女がいない。性格的にはできてもおかしくないんだがな……
どうやら今彼女は欲しいとは思わないらしい。
俺たちを見ているだけで満足みたいな事言ってたっけな……
いつもの5人で参拝することになった。
お金を投げ込み、礼や拍手をし、心で願いを唱えた。
「なあ、春樹なに願ったんだよ〜」
「秘密だよ!」
「まあどうせ坂石さんとずっと一緒にいたいとかだろうけど……」
「知ってるなら言うなよ……」
「あれ〜春樹顔が赤いな〜」
チッ、最近駿介からのいじりが多いんだよな〜
「でも秋大もそんなことだろ?」
「ああ。楓とずっといられるようにって願ったぞ!」
「なんでお前はそんなに堂々としてんだよ……」
「なんでだろーな?まあ、長いからな〜」
「男子達なに話してんの〜?」
「なんでもないよーじゃあみんなでどっか行こーぜ!」
「そーしよー!」
そこからは屋台で色んなものを買い、食べ、楽しんだ。
「じゃあ、そろそろ帰るか」
「そうしよっか」
「じゃあ、また今度」
「おう!」
それぞれ別れ、帰っていく。
「じゃあ、俺たちも帰るか」
「うん!」
七菜美の手を取り、俺たちも歩き始めた。
しばらく歩いていると、突然七菜美がこちらの顔を覗いてきた。
「どうした?」
「別に……今日も春樹はかっこいいなって思っただけだよ〜」
突然そんな事を言われ、心臓が大きく跳ねる。
俺も仕返ししてやろうと、七菜美を見つめる。
「え?な、なに?」
「いや、今日も俺の彼女は世界一可愛いな〜って思っただけ」
「な、なに言ってんの……」
顔をこれでもかと言うほど真っ赤にしている七菜美が可愛過ぎて、思わず抱きしめる。
「今年も俺のそばにいてくれよな」
「うん!今年もいろいろ迷惑かけるかもしれないけどよろしくね」
そっと微笑む七菜美が本当に愛おしい。
この笑顔を絶対に守る。
その誓いを込めて、七菜美の唇にそっと唇を重ねる。
そしてゆっくりと顔を離す。
「もうっ!最近外でしすぎ!誰かに見られたら恥ずかしいよ……」
「じゃあ、もうやめようか?」
「い、いや……それはそれでやだ……た、たまになら!ひ、人目のないとなら……」
焦る七菜美も可愛いな〜
七菜美の頭を優しく撫でる。
「最近春樹君はいじわるになりましたね」
「そうですかね?照れたり恥ずかしがる七菜美さんが可愛くてついつい……」
「すぐそういう事言う……他の人には言ってないですよね?」
「当たり前だろ?私の好きな人は七菜美さんだけですから」
「ならいいのです!」
そんな茶番を終え、互いに笑顔が溢れる。
こんな何気ないやりとりが、今年もずっとできるのかな……
そんな事を考えながら、七菜美の家に向かって行った。
2人で話しながら歩いていたら、いつの間にか七菜美の家が目の前にあった。
もうお別れか……
七菜美の顔をチラリと見たが、少し悲しそうな顔で同じような事を考えているようだ。
そんな時、目の前の扉が開いた。
驚き、体がびくりと揺れる。
「おかえり七菜美……あら、春樹君じゃないの」
「こんにちは。あけましておめでとうございます」
「おめでとうございます。今年も七菜美を頼むわね」
「はい。七菜美さんにもお世話になると思いますので、こちらこそよろしくお願いします」
「そんなにかしこまらなくていいわよ〜あ、そうだ、少し時間あるかしら?」
「え?あ、はい」
「なら少し上がっていかない?前からお話ししたいと思ってたのよ」
〜あとがき〜
読んでいただきありがとうございます。
ついに七菜美の家に入る機会がやってきました!
お楽しみに!
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モチベーション大アップです!!
これからもよろしくお願いします。
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