第70話 複雑に絡む気持ち

「ピピピピ……ピピピピ……」

「んん……」


目を閉じたまま、手探りで目覚まし時計のボタンを押し、音を止める。

そして、少しずつ目を開いていく。

朝日が部屋を少し照らしていた。

時計を見ると時刻は7時半を回っていた。

今日は日曜日。

別に春樹とも会う予定は無いし、これと言って楽しいことの無い一日だ。


ベッドから抜け出し、洗面所に向かう。

顔を洗い、歯を磨き、再び部屋に入る。

そして、机の上にあるネックレスをそっと手に取る。

先週春樹がくれた誕生日プレゼントだ。

私には勿体ないくらい綺麗なネックレス……

春樹は私に色んなものをくれる。

物だけではなく、愛情や、幸せ、喜びなど……

私は、春樹に同じように色んなものをあげれているのだろうかという不安に時々襲われる。

私は、昔から臆病だ。

容姿は変わったが、性格までは完璧には変われない……

色んなことが不安になる。

でも、春樹はそんな私も受け入れてくれると思う……


2ヶ月後にあるクリスマス辺りで、付き合ってから半年が経つ。

春樹と過ごす一日はとても華やかで、すぐに過ぎていく。

このままだと、結婚まですぐにいきそうだな……

そんなことを想像し、思わず笑みがこぼれる。


私たちはキスも沢山しているし、順序的には次は……

そんなことを考え、顔が少し赤くなる。

そして、変な妄想を断ち切るように頭を思い切り振る。

こ、こんなんじゃ私が痴女だと思わされちゃうよ……

でも、興味がないことは無い……

あれ?やっぱり痴女だった?!

春樹は、そういうのどう思ってるんだろう……さすがに高校生男子だし、興味ないことは無いよね……

いや、そういうのは関係なしに春樹を家に招きたい。お母さんが春樹と話したいって前から言ってるし……

でも、お父さんをどうするかなんだよね……

私の事になると、とにかく心配してくれる。

嬉しくないことは無いけど、さすがに年齢を考えて欲しいものだ……


ああ……春樹に会いたくなってきた……

でも春樹今日用事があるって言ってたしな……


大学生になったら、別々の学校に行き、遠距離になってしまうのかな……

数日会えないだけでこんななのに、耐えられるかな……

付き合っても、辛いことは沢山ある。

でも、春樹は辛さより幸せの方を多く与えてくれる。

ありがとう……大好きだよ、春樹

小声でそう、呟いたのだった……




~あとがき~

一気にクリスマスまで飛びます。

お楽しみに

これからもよろしくお願いします!

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