第68話肉食亜竜種狩り

「まだだ、まだやれる!

 差し出がましいことは言うな!

 お前は側近から外す。

 皇族の一人は厄竜に立つ向かわなければならんのだ!

 それを邪魔する者は、譜代功臣家であろうと断じて許さん!

 皇室の名誉を穢す家を、譜代功臣家とは言わん」


 そういう事でしたか。

 それならば協力しなければいけません。

 皇国の民のため、皇族が最前線で戦う覚悟をしているのなら、それに応えるのが家臣の務めです。

 城伯家ではなくても、元の徒士家の娘の時だろうと、できる限りの役目に励んだことでしょう。


「ヨジップ殿下!

 大物喰いすればいいというモノではありません。

 確実に手早く適度な強さの亜竜を狩るのです。

 今は巨竜を手早く狩ってください」


「おお!

 分かった。

 助言感謝するぞ、ラナ」


 巨竜とは言っても二トンクラスの肉食亜竜です。

 初期に発見命名されたので、その時は最も大きく強いと思われていたのです。

 ですが次々ともっと巨大で強い肉食亜竜が発見され、名前と実態が一致しなくなっているのです。

 ですが巨竜を狩れるくらい強い冒険者なら、名前と実態の違いなど関係ないです。


 最初は命懸けで必死で狩るだけです。

 実力がついてきたら、収入のために狩ります。

 いえ、亜竜種が狩れるくらいの実力者なら、目先の収入ではなく、狩った亜竜からどのような薬作られ、どんな病気に効くのかが気になります。

 自分の家族や友人知人を助けられるのか、それが一番気になるのです。


「ヨジップ殿下!

 すみません。

 次は瑪格竜です。

 私が斃しましょうか?」


「かまわん!

 次の巨竜が来るまで瑪格竜を削る。

 巨竜が来たら止めを頼む」


「分かりました」


 マルティン様がヨジップ殿下に謝っています。

 上手く巨竜を誘い出せなかったのでしょう。

 それも仕方りません。

 大魔境で早々都合よく、自分が狩りたい亜竜だけを見つける事などできません。

 それに、止めがさせなくても、削るだけでもよい経験になりますから。


「ヨジップ殿下!

 次の巨竜が来ましたが、そのまま最後まで斃してください。

 巨竜はイヴァンに相手させておきます。

 今の殿下なら、最初から最後まで一人で瑪格竜を斃せますぞ」


「おお!

 そうか、そうしてくれるか。

 俺もこのまま斃せそうな気がしていたのだ。

 そうか、俺は瑪格竜を斃せるようになったか」


「殿下!

 油断されてはいけませんぞ。

 今は我々が間引いているから安全なのです。

 肉食亜竜の群れに囲まれたら、今の殿下でも命の保証はありませんぞ!」


 ジョージ様が、ほめた直後に厳しくたしなめておられます。

 それがいいですね。

 大事な方です。

 厄竜に立ち向かう覚悟を決められた皇子です。

 犬死になど絶対にさせられません!

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