第6話 ふかふかぁ……

 そこにはこう書いてあった。

 ―――――――――

 サクライ シン

 魔力量:7200/7200

 スキル

 ・影帝

 ・言語理解

 ―――――――――


 ―――――――――

 コウサキ レイ

 魔力量:9650/9650

 スキル

 ・光姫

 ・雷豪

 ・言語理解

 ―――――――――


 お、2人とも魔力量が増えてるな。

 魔法使ったからか? こんな簡単に増えたのはびっくりだけど。


 まぁ、スキルはそんな簡単に獲得出来るわけないよな。


「……」

 国王は何も言わないな。

 え、いや、なんか言ってよ、怖い。


「これは戦闘系のスキルを持っている且つ魔力量が一般成人の10倍以上はある。少なくとも同年代ではトップクラスに行けるだろうな」


 ほうほう、強い方だったのか。

 それは良かった。


 でもトップ[クラス]か……。

 俺より強い人が同年代にいるのか、いつか戦ってみたいな。


 ここで国王が「何より……」と切り出す。


「スキルが英雄級か……」


「英雄級?」

 なんだそれ。


「スキルにはそれぞれクラスがあってな、下から

 一般級

 上級

 精霊級

 伝説級

 英雄級

 神話級

 神級

 そしてこのどれにも属さない全く異質なスキルが『深淵級』じゃ。

 この深淵級は過去の英雄、マゴスが持っていたとされるものしか記録にはない。そして主たちのそのスキルの全ては英雄級に当てはまるものだ。

 無論クラスが上なほど使いこなすのが難しいがな」


 なるほど……だから名前の割にあんま強くなかったのか。

 いや、使いこなせてないのか。


 そういえば。

「一般成人の魔力量はどのくらいなのですか?」


「大体500程じゃ」

 まじか。

 俺たち結構強ぇじゃん。

 これは俺ツエー出来るやつか?


「まぁ、軍人見習いよりは弱いがな」

 軍人見習いより!?

 そういえばなんかロリが『この世界の軍事力はかなり凄いからね』とかなんとか言ってたな…。

 ここまでかよ……。


「いい加減本題に入ったらどうです? 国王」

 隣にずっと佇んでいた宰相が言う。

 ちなみに宰相さんはクルシュと言うそうだ。


「しょうがないな……。では本題だが、まずは褒美の話だ。第3王女の命を救ったのだからある程度は願いを叶えよう。何か願いはあるかの?」


 んー。

 ま、ここはそりゃ決まってるよな。

 これが一番だ。


「「お金をください」」


 どうやらレイも同じ考えのようだ。

 ま、何もするにもお金はいるしな。この世界での目標もないからものをもらってもあんま意味ない。


 ちなみにここでの通貨は世界共通で

 鉄貨=10円

 銅貨=100円

 大銅貨=1000円

 銀貨=1万円

 大銀貨=10万円

 金貨=100万円

 大金貨=1000万円

 白金貨=1億

 黒金貨=1兆

 となっている。

 何故最後だけ十進法じゃないのかは俺が知るわけない。


 その答えに国王は……。


「ふむ……」

 俺達を見定めるように見ている。


 やっぱり。

 恐らく俺達デキるかどうか確かめたんだろうな。ここでお宝とか言ってたら少なからずガッカリされてただろうな。


「よし、決まった。これが1番の本題なんだが、主たちには学園に行ってもらいたい」

 がくえん……。

 べんきょう……?


「そこだったらこの世界のことを知れるし友人もできて良いことずくめじゃぞ? そしてわしの娘も友達が近くにいるということで喜ぶ、まさにうぃんうぃんというやつじゃ」

 なんで国王そんな言葉知ってんだ。


 学園か……。

 まぁ、確かにデメリットは勉強するということだが、

 それ以上のメリットはある。

 そして俺達にはこれと言って目的がない。

 そりゃ……。

 

「いいよな?」 

「うん、いいよ」

 一応レイに確認を取る。


「その話受けさせてもらいます」


 国王は満足気に頷いた。

「よし、それでは準備等はこちらでしておくから主たちは王城に泊まるがいい、基本何をしてくれても構わんぞ。軍のいる場所に行ってもよし、研究所に行ってもよし、体を動かして遊ぶもよし、部屋にずっといるもよしじゃ」


 それは純粋にありがたいな。


「では、もう行って良いぞ」


 俺たちは礼をすると、後ろの扉へ歩を進めた。


「あぁ、それと」

 最後にクルシュさんが声をかけてきた。

 なんだ?


「あまりスキルカードは他人に見せないでください。この世界では殺してその能力を奪うことが出来る者もいますし、何より自分のことを証明する証明証でもありますから」

 保険証みたいな感じか?


「話はこれだけです、お止めして申し訳ありません」

「いえ、ありがとうございます」


 ―――――――――


 俺たちは自分たちに与えられた部屋に向かった。俺とレイの部屋は隣同士だった。


 さて、俺はとりあえずベッドにダイブする。

 なにこれぇすっごいふかふかぁ〜。

 だめだ、これ人をだめにするベッドだ。


「さて、行くか」

 俺のやりたいことは決まっている。


 ふかふかぁ……。これ離したくなぁーい。


 俺は10分間のふかふかベッドとの激闘に見事勝利し、足を動かす。


 目的地に向かおうとすると、セレスに会った。


「あ、シンさん」

「お、セレス」

「どこか行くんですか?」

 小首を傾げながらセレスが聞いてくる。

 撫でたくなる仕草だ。


「ちょっと軍の人達を見に行こうと思ってね」

「軍、ですか?」

「うん」


 今の俺の実力は、軍人見習いよりも下だと言う。

 なら、その見習いとは比べ物にならない強さを持つ本物は一体どれほどなのか、すごい気になる。


「なら、私もご一緒します」

「面白くは無いと思うよ?」

「大丈夫です」

 セレスが微笑みながら言ってくれる。

 なんか聖女みたいだ。


 ―――――――――

 その途中、黒髪銀眼のオールバックの男に会った。

 身長は190ないくらいか?

 歳は多分20代後半くらいだろう。


「あ、プロットさん」


「うん?」

 プロットと呼ばれた男はこっちを見る。


「おぉー、第3王女様、こんにちは。お、もしかしてお前が第3王女様を救ったってやつか? その年でブラックオーガをやったんだってー? すげーじゃねぇか。はっはっは!」

 肩を組みながら言ってくる。

 すごい陽気な人だ。


「この人は?」

 俺はこの人は誰かとセレスに聞く。


 するとセレスはこう答えた。

「この人はプロット=ケタール。軍の第4席、四天王の一人です」


 そんな答えが返ってきた。

 え、四天王なんて設定あるの?

 オゥ……イターイ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る