第3話 零の告白

「俺は」

「私は」


「「戦闘系のスキルでランダムで!」」


「……ん?」

 俺達がこう言うとは思ってなかったんだろう、ロリ神が呆気に取られる。


「……いいの?」


「うん、自分で決めるの難しすぎるし」

「ね」

 俺の意見に、零が同意する。


「まぁ、いいけど。じゃあ、スキルを与えるよ。……はい、出来たよ」

 俺達に与えると言いながら片手をこちらに向け、少ししたら完了したと言った。


「ちなみになんのスキル?」


「それはあっちでのお楽しみ」

 別にいっか。すぐに分かることだろうし。


「じゃあ最後に、出来るだけ国の近くに飛ばすとして、どこに飛ばして欲しいとか要求ある?」


「あ、じゃあ簡単な魔物がいる所で」

「はいよ、それ以外は?」

「特にないな」


 零が簡単な魔物の近くと意見してロリ神が了承し、それ以外にはあるかと聞いてくる。


 俺はそれにもうないと答える。


「おっけー。じゃあいくよ」


 その瞬間俺たちはそこから消えた。


 ―――――――――


「なぜわざわざあんな嘘を?」


「しょうがないじゃないか。あんなこと、言えるわけがない」


「それもそうですが……」


「ボクは、シンに賭けることにしたんだ」


「それが裏切られたら?」


「それはもう、そうするしかないよね。……大丈夫かな」


「それはどの意味でですか?」


「決まっているだろう? 彼があの世界にいくのだから」


「そうですね」


「それに、まだあいつが残っているんだ」


「えぇ」


「シン、どうか許してくれ……。マゴス、すまない」


 ―――――――――


 俺達は森の入口近くで目覚めた。


 ほんとに異世界……か? いきなり来てそんな実感湧くわけもない。


「ここが簡単な魔物のいる場所ってことかな?」

「そうだろうな……」

 レイが聞いてきて、俺もそうだと思うとと答えた。


「そういえばスキルって何だろ?」

「スキルカードってものがあったって言ってたよね?」

「あぁ」


 それを思い出してそれらしきものを持ってないか探してみる。


 お、なんかあるな。


 なんも書かれていない銅色のカードがポケットに入っていた。


「これ?」

「そうだと思うけど……」

「何も書いてないな」

「だよね……」


 それをいじっていて、カードの表面を触ったとき、半透明な画面が飛び出してきた。


「おっ」

「わっ」


 そこにはこう書かれていた。


 ―――――――――

 サクライ シン

 魔力量:7000/7000

 スキル

 ・影帝

 ・言語理解

 ―――――――――


 これか。

 名前は強そうだけど……。


「これ、強いの? 弱いの?」

 この世界の基準が分からないから強いのか弱いのか分からん。


 俺よえええなんて展開やだぞ。

「うーん」

「ちなみにレイはどうなんだ?」


 この世界の比べる対象がないなら、まずはレイと比べてみようと思い、レイはどんな感じか聞く。

「えとねえとね」


 同じようにレイのスキルカード半透明な画面が飛び出してくる。


 ―――――――――

 コウサキ レイ

 魔力量:9500/9500

 スキル

 ・光姫

 ・雷豪

 ・言語理解

 ―――――――――


「こんな感じだね」

「魔力量が俺より高いしスキルも俺より多いな。え、ナニコレ差別?」


 同じ転移者なのに俺の方が弱そう……。


 ロリ神にキレたから仕返しされたんかな? 機会があったら聞いておこう。


 返答によっちゃそれなりの対応してやる。


「それよりさ」

 急にレイが切り出す。


「ん、どうした?」

「忘れてるかもしれないけどさ」

 んー? 忘れてることなんてあったか?


「真姫ちゃん、いないよ?」


 ……。


 …………。


 ………………………………あ!!!!!

 やばい異世界ってことに夢中になりすぎて完全に忘れてた!


 え、つかやばくね?

 あっちに1人だけ取り残された?

 俺だったら最低でもヒキニートにはなるレベル。

 ……。




「……どうしよ?」

「……やばいよね」

 どうやらレイもさっきまで忘れていたみたいだ。

 まじでどうしようか……。


 早速あっちに戻りたくなってきた。


 そんな時何処からか飛んできた紙飛行機が俺の額に当たった。

 それを拾い、広げてみるとそこにはこう書いてあった。


 ―――――――――

 ちなみに真姫って子はこっちのほうで何とかしてるから安心してね♡

 最高神ちゃんより☆

 ―――――――――


 ……なんだろう。

 安心するけど異様に腹が立つ……。


「これ、信じていいのか?」

「いいんじゃないかな? あれでも最高神様みたいだし」

「まぁそれもそっか」

 俺たちは少し笑い合う。


「ここは開き直ってこの世界を楽しむようにしようか」

「だね」


 これで全て解決って訳じゃないけど、とりあえず真姫は大丈夫みたいだし、出来るだけ考えないようにしよう。


 考えてたら真姫とずっと会えないってことに泣きそうだ。


 あと本当に大丈夫なのか分からないから不安なとこもあるし。


「それで、こっからどうしようか」

「私は魔物がどんな物か知っときたいかな」

「じゃあ一回戦ってみる?」

「慎重にね」

「ほいさ」


 なんかすぐそこに緑色の肌をした身長1メートルくらいの奴がいた。短剣持ってる。

 これは、ゴブリンか?


 へぇ、こういう系の世界なのか。


 俺が予想してた魔物のパターンは2パターン。

 1つは動物が魔物化するもの、

 もう1つはゴブリンとか、最初から魔物として産まれるやつだ。

 これはその後者らしい。


 とりあえずやってみるか。

 スキルは念じたら出来るのかな?


 えーっと。

 どうしようか考えていたらゴブリンが50メートル5秒代くらいの速さで向かってきた。


 ふぁ!?


 ゴブリンだぞ!?

 速すぎん!?

 『あっちの世界では戦闘をする者は君たちには簡単に反応も出来ない程の強さを大半が持ってるからね』

 そういえば説明の時こんなこと言ってたな……。


 助けて!

 そう思った瞬間ゴブリンは俺の上にいた。

 いや、ちがう、俺が下に行ったんだ。

 正確には俺が影と同化した。え、いや、なんで?


 あ、スキルの影帝ってやつか?


 助かったけど一つメリットとデメリットがあるな。

 影の中だと感覚はすごく研ぎ澄まされてるけど息が出来ない……。


 俺は影から出た。

 ここで一つ問題がある。

 この能力のお陰でやられはしないと思うけど倒せない。

 あ、そういえばなんかのアニメでは影を纏ってたやつとかいたっけ?


 よし、やってみよう。


 ……うん、全くできない。


 でも手の拳の部分だけなら纏わせられる。

 これで殴ったらなんかいける気がする。


 俺は影と同化する。

 一瞬でゴブリンの下に行く。

 ちなみに、影と同化してたらめっちゃ早く動ける。


 そのままゴブリンの下からアッパーする。


 その勢いでゴブリンは文字通り消えた。


 うわ、威力えぐ……。


 でも、これが簡単な魔物?


 俺はレイのところに戻ると一言。

「ゴブリンってあんな強いの……?」

「それ」


 とりあえず俺たちはそれは考えずにレイの能力も見ることにした。


 レイの能力は身体に電気をパリパリッって感じに纏わせたりと自分から1メートルくらい離れたところまで操るくらいが雷豪。

 光を出すのが光姫だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る