心のパレット

野田 琳仁

0 白い雲

心のパレット

 人の心には空がある。

 それと同じ様に、人の心には雲がある。

 心の空は人によって違くて淡い空色や、澄んだブルーだったりで、それ以上も以下も変わる事は一切無い。それに対し、心の雲はいつでも変わり続ける。心の雲は幸せな時、楽しい時、哀しい時、いかっている時。それぞれで色が変わる。時には心の雲が心の空を覆い、雨を降らす事がある。


 心の空は、キャンバスで、そのキャンバスに色を付ける絵の具は心の雲。心の雲は幸せな時、楽しい時、哀しい時、いかっている時。それぞれで色が変わる。時には心の雲が心の空を覆い、雨を降らす事がある。雲の色で感情が決まり、雲の量で感情の大きさが決まる。雨が降っている時は空というキャンバスに雲が溢れ返り、絵の具が外に出て行っている。

 この幾つかの事で人の感情は決まるのだ。


◇ ◇ ◇


 コツ、コツ、コツと背後から音が聞こえる。振り向くと、整った黒いスーツを着て、如何にも紳士という様な見た目をした白髪まじりのおじさんが立っていた。

「君の心には今、どの様な色をした雲が浮かんでいるのだろう? どんな量で、どんな形なのだろう? ねぇ、白本しろもと こころくん?」

「え⁈ 今、俺の……」

………………

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