19球目 鬼でも笑わない
赤鬼と化した
「このままやと逃げられる。おい、
「ふわぁ、なにぃ?」
草むらでうとうとしてたタヌキが、寝ぼけなまこをこする。キツネはタヌキの耳元で何かささやき、ニヤリと
彼らは尻尾を使ってぴょこぴょこ飛びながら、赤鬼の
「ガハハハハハハハ。もう終わりや」
赤鬼の左手にはキツネの鉄パイプ、右手にはタヌキの金属バットが握られている。俺は腰が抜けたフリをして、「何してんだ? 早く逃げろ」と叫ぶ。
赤鬼が「死ねぇ!」と、鉄パイプとバットを振り下ろす。俺は目をつむって音だけを聞く。
無音。静寂。閑静。
目を開けば、赤鬼が股間を押さえてあおむけに倒れていた。
「大丈夫ですか、番馬さん!」
「番長、番長、番長! ああ、アカン、伸びてもうたぁ」
キツネとタヌキが変身を解いて、赤鬼に駆け寄る。
「つ、
俺が血相をかけて、うずくまったままの彼女に駆け寄る。キツネはそんな俺を見て、歯ぐきをむき出して嫌悪感をあらわにしている。
「男の
彼女は背中をさすりながら立ち上がる。赤鬼の足の近くには硬球が転がっている。
(水宮入部まであと5人)
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