第6話②

 俺のゴミ出し、つまり分別やゴミを出す曜日がデタラメだったから。




 それがこの事件を起こした動機だった。




 実は大家は毎回ゴミ袋の中身を見て、分別ができているかをチェックする人間だった。



 そして、できていなければ、中身を出してからわざわざ分別し直していたらしい。



 実際、俺自身も朝出掛ける際に、大家がゴミを分別し直しているところを何度か見たことがあった。



 俺も最初は気を付けていたが、研究が忙しくなるにつれて、分別やゴミ出しの曜日を守らないことも増えていった。



 どうせゴミ処理場で何とかしてくれるだろう。



 そういう気持ちがルールをきちんと守る大家に迷惑をかけていたのだ。



 ゴミの分別は結局すべて焼却されるため無意味だという意見もある。だが、きちんと分別することはリサイクル効率を上げ、環境にもいいし、ゴミ収集員の安全を守ることにも繋がる。


 だからといって、大家のサイコな行動はかなり衝撃的だったが。


 しかし、この大家の親族が実はゴミ収集員でガス缶の爆発事故で失明をした話を聞いたときは俺は何も言えなくなり、逆に悪いことをしてしまったと反省した。



 俺もまた周囲のことを気にせずに行動していた非常識な人間だったのだ。




 衝撃音は鳴り止んだ。




 そして、大家からの直接の謝罪もあり、互いに和解して、この事件は幕を閉じた。




 なんとなくそのアパートに居にくかった俺は、その後研究所の近くに引っ越した。



 そして迎えた、次の日の朝。


 

 小鳥のさえずり、カーテンから漏れる日の光。



 いつもと同じだが、何だかいつもとは違う感じがした。




 なんだろう、成長した感じがする、




 人間としても。



 環境に影響を与えることなく自然を利用すべき、一人の研究者としても。



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