第32話 戦闘訓練
カークスへの移動途中、荒野の渓谷でナナミとファルマの魔導機の練習と、戦闘訓練を行うことになった。
「ちょっとした破損ならライザが修理してくれるから、気にしないで思い切ってきな」
ナナミのヴァジュラとファルマのガルーダが、アリュナのベルシーアに向かって掴みかかる……軽いステップでアリュナは二人の攻撃を避けると、二体の背中を軽く押す……するとバランスを崩した二人は地面に転がるように転んだ。
「ほら、しっかりバランスをとって、戦いで一番大事なのは重心をブラさないことだよ、そうすれば不意の攻撃にも対応できるようになる」
アリュナは指導者に向いているのか、そうやって教えているうちに、二人の動きが格段に良くなっていった……特にナナミの成長の速さは尋常ではない……すでに指導するアリュナに余裕の声は無くなってきていた……
「くっ……さすがはトリプルハイランダーだね……しかも魔導機ヴァジュラ……本当にお買い得品だったようね……」
完全に魔導機を乗りこなせるようになった二人と、俺とアリュナで本格的な戦闘訓練をすることになった。
ヴァジュラは片手剣と盾を装備して、ガルーダはアローを装備する……
実際に戦ってみて思ったのだが、ガルーダの飛行能力はやばい……高速飛行できるわけではないけど、50mくらい上空に浮き上がられたら、飛び道具のないこちらは何もできない……なのに向こうはアローでバシバシ攻撃してくる……アローの先端に特殊な金属を付けると、Sランクの装甲も貫通するそうで、その威力も侮れない。
ナナミのヴァジュラの能力も驚異的で、練習なので手を抜いてるといっても、あのアリュナのベルシーアが圧倒される場面が何度もあった……まだまだナナミは伸びそうなので末恐ろしい……
「しかし……空飛んでる相手にどうすればいいんだ……」
「そうね、こちらも飛び道具を使うか……飛行するかしかないわね……」
アリュナの言うように、飛び道具でもないと渡り合えないと思う……この先、飛行する敵が現れないとも言えないので対応は考えた方がいいかもな……
戦闘訓練を終えると、俺たちはミーティングをすることにした。
「俺も飛び道具が欲しい」
俺はすぐにそう主張する……
「飛び道具ね……アローかボウガンか……あとは魔光弾があるけど……アローだと両手使うから、装備したら近接武器は装備できなくなるわね……ボウガンは片手に装備できるけど、威力も弱く、装填できる矢が少ないから気休め程度にしかならないし……」
「その魔光弾ってのはどんな武器なんだ」
「魔光弾はルーディアコアを使用した魔法兵器よ、腕に装着できるくらいに小型なんだけど、威力がルーディア値に左右されるから……しかもダブルハイランダーの私でも相手を怯ませるほどの威力しか出ないほど貧弱だから、これを使ってるライダーなんて珍しいわね」
「それじゃ、ルーディア値2の俺が使っても無意味そうだな……」
「……ルーディア値2……勇太……何言ってるの……」
アリュナが驚いたようにそう言う……そう言えばアリュナは知らなかったけ……
「あっ、俺ルーディア値2なんだよ」
「そんなバカなことあるわけないでしょ……ルーディア値2で魔導機を動かせるわけないわよ……」
「そうなんだよ、俺もそう言ってるんだけど、本人が2だって言い張るんだよな」
ジャンもアリュナの意見に同調してそう言ってくる。
「だってちゃんと最新の計測機で測ったんだぜ、間違いないだろ」
みんな俺のルーディア値を信じてくれない……そんなにおかしいかな……
「そこまで言うなら今度、ちゃんと測ってみましょう、大きな街に行けば計測機を置いてる施設もあるだろうし」
「ルーディア値ってそんなに重要かな……本音言うとどうでもいいんだよな……」
「ナナミも勇太のルーディア値には興味ないかな……勇太は勇太だし……」
「うん……別に知らなくても問題ない……」
ナナミとファルマはそう言ってくれたが、ジャンとアリュナははっきりさせたいようで、機会があれば俺を計測機にかけるき満々のようだ。
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