第61話 反射光

目が覚めたとき、オレは状況がよく分かっていなかった。

最初に思ったことは、

「生きてる???」

これが死後の世界でなければ生きているはずだ。

しかし身動きが取れない。

目を開けているはずなのに視界が閉ざされている。

ということはこれは死後の世界か?

しかししばらくすると、目の前に布があり、それが今まで使ってきた毛布であることを理解した。

毛布の隙間からうっすらと光が差し込んでいる。

オレはグッと手を押し出して毛布を取り除けようとした。

重い。

一体どうなっているんだ?

しかしもう一度手を押し出すと、毛布がわずかに動いたので、オレは思い切って力を加え、その反動で起き上がろうと試みた。


ザザザザザーーー


毛布から砂がこぼれ落ちた。

まぶしい。

急に明るいところに出たのでしばらくモノが見えなかったが、目を細めて慣らしていると、ミラヤの心配そうな顔がにゅっと現れた。

オレが、「おぉっ」と驚くと、ミラヤはオレの顔をペロンとめた。

ゲネオスやパマーダ、マスキロも目を覚まし始めた。

「ミラヤが助けてくれたのか?」

オレが尋ねると、ミラヤは口角こうかくをグッと上げてニコッと笑った。


周りは砂嵐一過の晴天で、太陽がジリジリと地面を照りつけていた。

羽虫達の姿はなく、空に視界をさえぎるものは何もなかった。

オレ達の無事を確かめると、ミラヤは少し離れてからこちらを振り返り、前脚をくような仕草をした。

「ミラヤ、どうしたの?」

ゲネオスが尋ねた。

ミラヤは一度オレ達の方へ戻ってきて、再び離れて先ほどと同じ動きをした。

オレ達はミラヤのいる方向に目を向けた。

その先には砂丘があったが、砂嵐が通り過ぎた後、砂丘の形が変わっていた。

前は砂丘の影に隠れて見えなかった部分から、キラリと光るものが見えた。

淡い光だった。それが不規則に断続的に何度も見える。

「あれは、、、太陽が水面に反射した光じゃないか?」

ゲネオスが言った。

「ということは、、、」

「うん、オアシスだと思う」


その光はかなり離れたところにあったが、目的地がハッキリしたので、オレ達は疲れを忘れて歩みを進めた。

オレ達は遂にオアシスに辿たどり着いた。

「泉の街、クレーネへようこそ!」

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