第9話 スティング
ツギノ村への道中は当然たくさんのモンスターを相手にする必要があった。
しかしモンスターが集団で現れたときは、オレのミョルニルを使って1匹1匹引き
至近距離で遭遇してしまったときは総力戦だ。この場合はマスキロも参戦し、ファイアー・ボールを打ちまくる。威力は小さいがマスキロの魔力が尽きるということはなかった。傷ついたときはパマーダが怪我を治してくれた。
ゲネオスはこの冒険から剣を使っていた。
「さすがにいつまでも棍棒というわけにはいかないからね。棍棒を下取りし、この前の報酬をぶつけたんだ」
戦闘が終わるとゲネオスは自分の得物の説明をしてくれた。
「あとこれも買った」
そう言って右の腰に着けた小振りの鞘から短剣を取り出した。
「サルダドがアーティファクトを使っているから、ボクも欲しくなったんだ」
見かけはただの短剣だ。柄の部分に僅かながら装飾が施されていたが、どちらかというと質実剛健なつくりである。刃は鋼製で錆や汚れはなくきちんと研がれていた。
「武器屋の主人に勧められた。これはエルフの短剣なんだ」
嫌な予感がする。
「その短剣いくらしたんだ?」
とオレは尋ねた。
「10ゴールドだったよ」
安すぎる、偽物だな。しかし短剣としてのモノは悪くない。10ゴールドにしては良い買い物だと思った。
「エルフの短剣は名前を付けるとアーティファクトに変わる。一晩悩んで、『スティング』と名付けることにしたよ」
「!!!」
なぜかその名前はマズイ気がしたが、本人が気に入っているなら口を挟むべきではないだろう。
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