第3話 初めてのクエスト
「私の娘がオークどもに
勇者が答えた。
「詳しく教えてください」
村人はすぐに勇者が見つかった幸運に感謝しながら、依頼の内容を説明し始めた。
「村の近くの洞窟に10匹ほどのオークの群れが住み着いております。その中で身体の大きい奴が頭目で、たまに手勢を連れて村や畑を略奪にやって参ります」
10匹と聞いて勇者の顔色が変わった。勇者といえども装備は棍棒。自分の力は分かっている。
そこへオレが割って入った。
「村人よ。その娘を連れて帰ればいいんだな? たとえオークたちを全て殺さなくても」
「さようでございます」
「ゲネオス、オレに考えがある。この依頼引き受けよう」
勇者は「分かった」と答えた。僧侶は初めから引き受ける気のようだ。魔法使いは何の反応も示さなかった。意思を示さないのは「諾」という意味だ。
街を後にしてから、ゲネオスが口を開いた。
「サルダド、考えというのは一体何なんだ?」
「このウォーハンマーを使う」
「どういうこと?」
「このウォーハンマーには不思議な力がある。これを敵に投げつけるとターゲットがくっついて一緒に戻ってくるんだ。これを使って掠われた娘だけを取り戻せば、オーク全員を相手にしなくてもいい」
「ミョルニルじゃな」
マスキロが口を挟んだ。
それを聞いてドキッとした。アーティファクトの名前まで教えるつもりはなかったが、魔法使いは以前から知っているようだ。
「そうだ。ミョルニル。これをうまく使うんだ」
ゲネオスはしばらく考えて、
「分かった」
と言った。腹をくくったようだ。
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