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 その井戸はむかし、たいへん美しいお姫様が住んでいると云われるお城の跡の大きな庭の中にあるのでした。

 この物語の主人公のルナは辛いことがあるとよくここに訪れてたくさん泣くのでした。

 そうすれば自分もその美しいお姫様のようなヒロインになれる、そんな気分になれたのです。いつか私にも王子様がーー。 

 いえ、王子様じゃなくてもいつか誰かが自分のことを思い描いて、それを励みにどんなことがあってもハッピーエンドが待っていると信じて頑張れたのです。

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