第18話 受かったらマジすごい
春香はため息を吐き、彩音は涙に濡れている顔をしている。細かい字で彼女達の顔に書かれたメッセージを読み取ろうとするまでもなく、就活がうまくいなっていなさそうなのは一目瞭然だった。
「ねー、宮平君は、もうシャンパン建材に決めるの?いいなー、一部上場企業なんて夢みたい」春香は、そう聞いた後、ビールを飲んで、大袈裟にぷはーと言った。
「いや、実は今二次面接まで進んだ企業があって、そこに受かったら決めようと思う」
「そこって、どこ?」彩音は、得心のいかないような顔をしてそう聞いてきた。
「日和見カーリース東京」俺がそういうと、
「日和見!?日和見ってあの日和見自動車の日和見?」彩音は目を光らせ、決死の表情でそう言って、
「うん、その日和見」そう答えると、春香は敵地に足を踏み入れたような険しい顔をしながら、
「すごい、すごい、受かったらマジすごい」と言っていた。
そう日和見自動車の日和見なのだ。
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