長い長い長い時間が流れて、髪が伸びた

緊急事態宣言が解除された。


長い長い長い時間が流れた。


そんな気がする。




「髪、のびたなあ」



「えー切るの」



「切ったほうがええなぁ」



息子の散髪をする。生まれてからずっと、私が専属で切っている。風呂場で、バリカンとハサミを使ってはじまる。



「すぐ終わるから」



そう言って説得する。


最初は、段差ができたり、微妙に左右の長さが違ったりしていた。



「いたいよ」



髪の毛を引っ張って、泣かれたこともあった。

ただ最近は、なれてきて腕前も上がってきた。

スソをバリカン6ミリで刈って、前髪をハサミで切る。


自分で言うのもなんだが、そのへんの美容師よりいい仕上がりにできる。


髪の毛を切ってもらうのは、当たり外れがある。




「この人なら大丈夫」


という美容師、床屋になかなか出会えない。



歌手や俳優の写真を持っていき



「こんな感じにして下さい」



「わかりました」



仕上がりを鏡でみて、どれだけガッカリしたことか。


私も髪を切ってもらいながら、



「こうやって切れば、こんな感じになる」



観察している。そして、息子で試してきた。

いまでは、息子も髪を切り終わると、鏡をみて



「スッキリしたね」



「そうやろ」



ニコニコしている。



あと何年、専属でいられるかな。

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