やさしいアメちゃん

咳がでるから、飴をなめる。


のどが痛いから、飴をなめる。


口がさみしいから、飴をなめる。


男性より女性のほうが、飴をなめる気がする。

そんな飴を、コミュニケーションをとるツールとして使うのが、


大阪のおばちゃん。


大阪のおばちゃんは、だいたいカバンの中に飴を入れている。

事あるごとに、飴を配って誰とでも仲良くなってしゃべる。


着物屋で働いていたとき、お客様のお宅に

着付けの先生を車に乗せて連れて行った。

車を運転している私に

「飴ちゃん食べ」

そう言って、5つぐらいくれる。

なぜか飴に、ちゃんをつける。


「1個でいいです」

「ええから、ええから、誰かにやり」

飴ちゃんのバトンを渡される。


お客様のお宅に着いても、すぐに娘さんと飴ちゃんで仲良くなる。

飴ちゃんは、お客様との距離感を縮めてくれる。

飴ちゃんをもらって怒る人は、あまりいない。


ちょうどいい。

私もボイストレーニングで、生徒さんにのど飴を

「これは、のどにいいから」

と言って、マヌカハニー入りの飴ちゃんを渡す。

ニュージーランドのマヌカハニーは殺菌効果があって、

のどにいい。


なんとも言えない不安な気分が支配している。

いつ終わるともわからない、

見えない敵との戦い。

みんなピリピリしている。

大阪のおばちゃんみたいに、

泣いてる子どもがいたら

「飴ちゃん食べ」

と優しく声をかけてくれると


それだけで


やさしい空気が流れると思う。

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