緋翼の聖獣ルースター

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 名前: 【  】

 種族: 【緋翼ひよくの】聖獣ルースター

 レベル: 1

 体力: 100

 SP:70


 ステータス:

 力: 5 防御: 5 敏捷: 30(+5) 器用: 30 霊力: 20 幸運: 10


 状態: 健康

 感受性: 10

 信頼度: 10


 スキル

比翼ひよくLv1】【足蹴りLv1】【鳳凰ほうおうの恩恵Lv1】【受け流しLv1】


 装備 なし

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 敏捷になんかプラス補正がついてる……? もしかしてスキルの影響とかかな。それはあとで確認するとして……種族に書いてあるルースターってなんだっけ、と画面からインターネットに繋げて検索をする。

 ゲーム内からネットに繋げるのは、攻略情報とか掲示板とかを気軽に見られるから便利な世の中になったものだねー。


 検索: ルースター 鶏

 結果: Rooster【雄鶏おんどり


 あ、なるほど雄鶏ね。確かに鶏冠トサカは立派だった。オスだねこの子。

 ステータスは私と同じくポイント100からの始まりかな? 種族で最初の値が決まっているのかも。敏捷と器用が高くて力と防御が低いからヒットアンドアウェイするテクニックタイプと見た。そこを伸ばしていくのが多分一番いいんだろう。


 SPは……なるほど霊力か。スピリチュアルポイントね!


 感受性とか信頼度はっと。




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 感受性

 高ければ高いほど指示を受けた際の反応速度が上がり、スキル習得が早くなる。信頼度よりも高くなると言うことを聞かなくなる可能性が上がる。

 信頼度と共に上がりやすい。感受性を増減させるアイテムも存在する。


 信頼度

 共存者との信頼性。基本的に一緒にいれば自然と上がっていく。褒めたり好物を与えたりすると伸びやすくなる。逆に怒鳴ったり嫌いな物を与えられたり、理不尽な目に遭うと下がっていく。


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 ふんふん、やっぱりパートナーがいるというだけあって、聖獣のステータスとか設定も凝ってるなあ。


 次にスキルの確認。

 ニワトリちゃんを膝の上に乗せて撫でたり羽毛を優しくいたりしながら、もう片手でタップとスクロール。私の撫でテクニックでやられたニワトリちゃんはもうメロメロだ! 

 お腹を見せて仰向けになりながら気持ちよさそうに目を細めている。おお、この子ニワトリはニワトリだと思っていたけど、翼だけは綺麗な赤色なんだなあ。胴体は普通のニワトリのデフォルメって感じなんだけど。



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 スキル一覧


【比翼Lv1】

 パッシブスキル。

 器用値の影響するスキルを扱うとき、威力が半減する。

 同パーティー内に同じスキルを持つ者がいた場合、威力の半減効果がなくなり全能力+10。


【足蹴りLv1】

 アクティブスキル。消費SP5。

 攻撃基本ダメージ5。

 跳躍して足で蹴りつける攻撃。基本ダメージ×力値が純粋な攻撃力になる。器用値10につき威力が5アップ。


【鳳凰の恩恵Lv1】

 太陽に属する神獣、鳳凰の恩恵を受けた証。太陽が出ている間、敏捷に+5の補正が入る。


【受け流しLv1】

 アクティブスキル。消費SP5。

 基本値5(器用値10につき+5)

 クールタイム10秒。連続で使うことができない。

 敵の攻撃を受け流す。敵の攻撃より基本値が高い場合、ダメージ判定を0にする。敵の攻撃が基本値よりも高かった場合、敵の攻撃力−基本値がダメージとなる。


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 ……ということは、【足蹴り】は基本値5×5の威力25。器用値も30だから更に15の威力がプラスされて威力40。あれ、思っていたよりも強くない? うちの子の体力100なんだから、多分他の聖獣も似たようなものだろう。三回攻撃が当たれば勝てるわけだ。その代わり、防御力が紙だから初期値で力が強くて素早い子がいたら詰むけど。

 

【受け流し】のほうは基本値5に器用値乗せて20。20までの威力なら完全に防ぎながら受け流せると。

 

 も、もしやこれ……器用値めちゃくちゃ大事じゃないの!? 

 あ、でも【比翼】ってスキルが器用値の乗る補正を下げちゃうんだな……デメリットありで、しかも相方がいないと機能しないスキルになっている。こんなのもあるんだなあ。


 調べてみると、どうやら初期スキルは攻撃技ひとつ、恩恵ひとつが固定で、そして最初と最後のやつは全部ランダムで決まるらしい。


 最初のスキルは種族名に書いてある【緋翼の】聖獣ルースターとなっているように、二つ名のほうに影響があるらしい。最初のパートナーは全部二つ名がつくようで、それが私のニワトリちゃんの【比翼】であり、【緋翼】なのだ。

 正直格好いい。


「よーしよし、名前を決めようねぇ」

「くう……」


 もはや目がトロントロンに蕩けている。私の撫でテクにこうまで簡単に陥落するとは……お婆ちゃん家の猫のほうがもっと難関だったよ? 


「あれ、信頼度と感受性が上がってる……」


 もう一度ステータスを開けば、信頼度と感受性が20になっていた。早くない? 

 まあいいや。名前を決めよう! 


「緋翼の聖獣ルースター……うーん、そっちの名前からより、やっぱりインスピレーションって大事だよね! それじゃあ……」


 直感で決める。


「キミの名前はアカツキだ!」

「コッコッー!」


 そして名前の部分が空欄から【アカツキ】に変化し、気分が良くなった私は意気揚々と草原の扉を開け放す。


「いざ! 今度こそ神獣郷へレッツゴー! アカツキ!」

「コケーッ!」


 こうして私はお間抜けにも、自分のステータスを確認し忘れて冒険に旅立ったのだった。

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