第54話 一本道の不滅
不滅の迷宮にある一本道の遥かな先、そこにある壁に突き刺さったオーブを壁から引き抜く事がこの海ポイントを脱出する方法であった。
俺様は辺りを見渡す。憤怒のサリィーと暴食のネメが強力しあって戦っている。
傲慢のルシュフと嫉妬のレイディーが蒼龍とボンバー魔王を護衛しており、怠惰のベリーは俺様の背中で安らかに眠っている。
強欲のゴーナと色欲のサキュラは遊撃隊のように暴れまわり。
色欲のサキュラに至っては吸血族をうまく利用して空を飛翔したりしモンスターを誘導したりしていた。最後はゴーナ姉さんの怪力でぶっ飛ばしている。
俺様と冥王ブランディ―と玄武は走りながら文句を呟いていた。
「ったく、その気まぐれ魔王は一体何者なんだよ、ここまで不滅のダンジョンを改善する奴を聞いた事がないぞ」
「それはわしも初めて聞いたぞいはぁはぁ、こんな事をするくらいならもうちょっと老人に優しいダンジョンにしてくれてもいいのではないかのう」
「それは俺様も同意見だぜ。とにかくあのオーブを引っこ抜くぞ、後もう少しだぜ」
俺様と冥王と玄武は必至で走る。
右へ左へとレベル5000くらいの奴等が表れて攻撃を仕掛けてくる。
それを右へ左へと薙ぎ払うと、後ろにいる七つの大罪メンバーに迷惑がかかる事は分かっていても、今は一刻もはやくレベル5000ゾーンから抜け出る必要があった。
「ったく、リュウケンもこちらの立場ってものを考えてちょうだいなぁ、これでも怒ってないんだからねぇ」
「ふぁあああ、腹減った、リュウケン今すぐカレーライスを食べよう」
「ネメよふざけている場合ではなくてよ、ここはサンドイッチというのが相場ですわよ、絶対にカレーライスはダメなんだからねぇ」
「サリィーはもっとがっつり食べるべきだよ」
なぜか憤怒のサリィーと暴食のネメがカレーライスかサンドイッチかで喧嘩を始めた。
それは放って置くとして、俺様と冥王は辿り着いた。玄武は力つきて途中で歩いている。
ボンバー魔王と蒼龍を守っている七つの大罪メンバーに助けてもらっているようだ。
玄武も玄武だろう、彼がここで本気を出したら、巨大なタートルマウンテンが表れてダンジョン所ではなくなるのだから。
俺様は目の前の壁に突き刺さっているオーブを思いっきり引っこ抜いた。
すると青い卵のようなオーブが引っこ抜かれる。
レベル5000の数えきれないモンスター達はどのモンスターも水のように爆発した。
それぞれは色々な形をしているモンスターであった。
それは水の魔法のようなもので作られたモンスターであった。
ここまでのレベルを維持しながら、水の魔法でモンスターを創造するのは並々ならぬ力を感じさせる。気まぐれの魔王が何者かがとてつもなく気になった俺様であった。
壁が右と左に分かれると、その中から階段があらわれた。
それは永遠とも思える下層に向いていたのだ。
俺様は僕になって、冷静に務める。
僕は気まぐれ魔王がいじりまくった不滅の迷宮で、一般の冒険者達が無事にいられるとは思えない。
沢山の冒険者が死亡している可能性があるとこの時の僕は思うようになっていた。
僕は沢山の人々が死ぬところを見たくない。
だから困っている人々がいたら助けてあげたい。
それか、攻略不可能だと思って撤退してくれる事が僕の願いでもあった。
後ろから仲間達が意気消沈しながら歩いている光景を見ていると、とてもいたたまれなくなったのだが。よーく見ると、みんな笑顔であったのだ。
「ったく、こんな仕掛けがあるなんて、おもしれーなこのダンジョンは」
無責任な事を呟いたのは、天然吸血鬼のサキュラであった。
「吸血鬼ってのはこれだから嫌なのですわ、お嬢様として明言しておきますけど、あなたちょっと調子に乗りすぎですわ」
傲慢のルシュフが大きな声で発言して、くいっと指を指すのは色欲のサキュラであった。
「ルシュフも感じるだろう、この心臓のビートを」
「意味が分からないですわ、そのような下品な言葉を使うだけで最悪ですわ」
サキュラはキラキラする瞳でルシュフを見ている。
ルシュフはどう反応していいか分からずそちらを見ている。
2人の七つの大罪は意味が分からないまでもお互いを見ていた。
【さて喧嘩はやめて行きましょう、わすの気配を強く感じるのです。気まぐれ魔王はどうやらわすの力が封印されているアイテムを奪っていないようですし、他の冒険者達は撤退していっているみたいです】
「他の冒険者達は無事なのですね」
【はい、無謀なやつは死亡してますけどね】
その言葉だけで僕は意気消沈しそうになったが、冒険者とは撤退も大事だと聞いたことがある。
彼等は力を見やまった悲しき冒険者であったのだろう。
冥福を祈りつつも。
リュウケン達メンバーはダンジョン攻略に手を掛けるのであった。
それからというものひたすらモンスターが表れては戦って倒しては進んで。
宝箱があれば、それを破壊して中味だけ貰うというめちゃくちゃ方法を取ったり、あの気まぐれ魔王が罠を設置しているだろうと思ったからだ。
多種多様な罠を乗り越えて、ネームド付きのモンスターを倒して。
レベルが13000になっていると滅多にレベルが上がらない事も分かったし。
ひたすらひたすら階段を下っては、同じようなオーブを触っては解放しては破壊しては。
ただただ下り続けて。終わりの先が見えず。その度に蒼龍はあともう少しだという。
僕たちは全神経を浪費していた。
それでも七つの大罪メンバー達はにこやかに希望を抱き。
あらゆるバトルを楽しんでいる。
こいつら戦闘ジャンキーかよとツッコミたくなる。
冥王も玄武も蒼龍もへとへとになっている間。
1人の赤ん坊がとてつもない成長を見せていた。
体は少年くらいに成長した。
しかし一気に成長した為赤ん坊のようによちよちと歩いてしまう。
言葉を話していない。
だが彼は自力で学習する。
だが彼は自力で歩き方を学ぶ。
それは遥かな昔の人類がしてきたであろう見て学ぶというものであった。
それを何度も繰り返していたら。なんとオムツを吐いた状態で立ち上がった少年がいた。
彼はただ叫ぶのだ。
「ママは誰?」
七人の美少女達を指さして尋ねる。
「あなたはパパでしょ?」
なんと僕を指さしてパパでしょ? と尋ねる。
その時ようやく悟った。
これって修羅場じゃね?
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