第51話 モンスター海通路


 全身を水の中のモンスター達に噛まれてしまった僕はベリーが【青い焔の回復】で治療してくれた。まるで生まれたばかりのような自分の肌艶に驚きつつ、ベリーにお礼をした。



「まぁ青い焔はすごい回復するから大丈夫だと思う、骨とか内臓にも負傷が見られなかったからね、ふわぁああ」

「はは、相変わらず眠そうだね」

「うんなのぉふわああああ」

 


 僕は全身が治癒されたので、アイテムボックスに濡れた衣服を入れる事にした。

 変わりに新しい衣服を取り出すと着替える事に、トランクス一枚の僕を七つの大罪の女性達はじっと見ていた。



「そんなに見なくても」


「殿方の裸はあまり見た事がないのですわ、とても勉強になるのですわ、だからって見とれてる訳ではないのです事よ」

「サリィーよ、わたくしもそれには賛成です。お嬢様として申しておくなら、もう少し鍛えておきなさい、そのような貧相な体では女性は振り向いてくれないのですこと」



 憤怒のサリィーと傲慢のルシュフの手厳しい一言に僕はニコニコしているだけであった。



 着替え終わった僕は皆と一緒に【海水のオーブ】を台座に設置した。

 最初は何も異変が無かった。

 現在の蒼龍は青い鱗のドラゴンそのものになっている。

 最初の頃とすっかり変わり果ててきている。

 最初は黒一色で、どんどんと変化を続け、今ではブルーサファイアをさらに磨いたような色になっている。



 それは最下層で眠っている蒼龍の本来の力なのだろう。



 玄武も老人の姿ではあるが、本来の姿は巨大な亀そのものなのだ。


 

 ボンバー魔王は蒼龍に跨って遊んでいる。

 ちなみにボンバー魔王は赤子そのものであったのに、今ではもうスピードで成長をしている。

 このままでは少年クラスまで数時間後には成長してしまうのではないだろうかと、期待している。



 冥王は腕組みしながら、海のような大量の水を見つめている。

 先程レイディーと一緒に潜った水の中はとても深い所まであり、見た事もないモンスターばかりであった。


 

 何も異変が無いからおかしいと発言しようとしたら、ゆっくりとゆっくりと幻想では海その物が2つに分かれて行った。


 

 右と左にゆっくりと海が開かれ、遥か海底の底に向かって階段はあり、海の谷となり道が出来たそこは、まるで遥か昔の伝説を見ているようだった。



 遥か昔の大賢者は海を割る事さえ出来ると神話で受け継がれていたのだ。

 

「これはすごい」



 僕の呟きに、ふふんと笑って見せるのが老人の悪趣味である。



「事はそう簡単にはすまない、右と左の水の壁から沢山のモンスターが出現して来る。奴らはこの台座にある【海水のオーブ】を破壊して道を閉ざすつもりだ。オーブの乗った台座を持って守り続け、あの太陽に向かって進む事、それがこの場所のクリア方法じゃて」


「は、いいじゃねーのさ、こういうのを待ってたぜ」

「玄武の助言はありがとう、冥王はあまり暴れないように」


「かっか、さぁ、七つの大罪として女の力を見せてやりましょう」

「「「「「「はいお姉さま」」」」」」


 憤怒のサリィーは真紅の髪の毛をふわりと浮かせて、赤いドレスを1つの皺もなく翻らせる。

 彼女は槍を構えていた。そこにいるのは紛れもなく人間のツンデレ娘であった。


 暴食のネメは体つきがぽっちゃりで栗色の髪の毛をしている。右腰と左腰には無数のナイフが装備されており、とてつもなく我儘でありぶりっ子でもある。彼女は両手に沢山のナイフを握りしめている。そんなに握りしめてどうするつもりなのだろうかと少し心配してしまう。


 傲慢のルシュフは天空族らしく純白の翼を生やしており、水色のしっとりとしたワンピースを着用している。白いレイピアが右腰に装備させられ、小さな丸い盾が左腰に備えられている。 

 とてもほっそりとしてお嬢様のような歩き方をする。

 彼女はすごくてんぱっているのか階段から落ちそうになっている。



 嫉妬のレイディーは人魚の姿から元の姿に戻っている。

 川とか海とかで泳ぐ時に使われる乾きやすい衣服こと水着のような服を着用している。

 魚人だが【海の誘惑】という杖を使いこなす水賢者でもある。


 

 怠惰のベリーは小人族であり、いつも僕の背中でお眠状態である。

 衣服は茶色いポンチョのようなもので、ふわふわの鳥の帽子を被っている。

 なぜか靴は長靴である事を再認識すると、確か彼女の武器は焔のヌンチャクである事を思い出した僕は燃えないかと心配になってしまった。


 

 強欲のゴーナは【怒りの爪】という武器をいつも装着しているが、基本は色々な武器を使う。

 頑丈な肉体もしており、ゴブリン族なのだが美少女の顔をしている。

 周りからは姉さんと呼ばれて慕われているのだ。


 

 色欲のサキュラは吸血族であり、少し天然チックでもある。

 黒いミニスカートからは黒い下着が見えるが、いつも見なかった事にしている。

 たまに白だとレアだとか思ったり、殺されるので内緒だ。

 胸は巨乳でありながら、軽快に動き回るので、胸の動きがありえない事になる。

 小柄だが翼は体の2倍はある。

 この世の全ての魔法を扱う事が出来る最強の魔女とされる。

 知らない魔法でも見れば使えてしまう恐ろしい女性なのだ。



 ゴーナ姉さんの一喝により七つの大罪の7人の美女達が右と左に分かれてしまった海へと渡ろうとする。階段をるんるんと降りると、それぞれがバトルを開始した。



「ったく女共には負けていられないぜ」

「そのようですのじゃ」



 冥王ブランディ―は青白い体と顔をしながら、頭にはツノが2本生えている。

 それから不思議な力が湧き出ているようだ。

 冥王ブランディ―はにやにやしている。

 その後ろからはゆっくりと初老の如く、玄武のタートルマウンテンがやってくる。

 もちろん老人の姿であり、少し大柄な老人だ。緑色の髭と髪の毛をしている。

 体は甲羅のようなローブで包まれており、いつもの姿であった。

 大きな杖を構える。



 このダンジョンを封印した4賢人の1人とされる玄武、もう1人である蒼龍は力を失い小さい龍の姿だ。



 白虎と朱雀がどこにいるのか尋ねてみたかったけど、きっといつか教えてくれる。そう思う事にした。


 ボンバー魔王と蒼龍は後ろからついてくる形となり、休憩がてらという事で僕は後ろで蒼龍とボンバー魔王を保護する事にした。


 蒼龍が海水のオーブが乗った台座を運ぶ事に、人間のようにはいかないので、馬が引きずるようにロープで固定した。


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