第41話 魔王撃沈
傷つき倒れかけていた魔王はいつものように後ろを振り返った。
そこには1000体しかいないモンスターと魔族達がいた。
彼らは身を捧げる思いでいるのだろうけど、
魔王は気付いたのだ。
この傷では1000体のモンスターと魔族では少なすぎると、
魔王は周りを見渡す。そこに忠誠を誓う仲間がいればいいのだと、
思って。
だが周りにいたのは敵ばかりである事に気付いたのだ。
「どうやらミリーシャ王国に避難届を出しても無駄だったみたいだね」
「そのようね、超能力で調べたけど、あの七つの大罪達は、避難をお願いしたのに断られるどころか不敬罪で逮捕されてしまったみたい、彼女達が暴れなかったのはきっとあなたの事があるから」
「超能力とはそこまで分かる物なのか?」
「んと、私が少し特別なだけ」
「そうか」
冥王と玄武と勇者と配下のモンスター達は、
魔王を取り囲んでいた。
1000体の敵のモンスターと魔族達は、一応魔王を守る為に後ろに近づき、
魔王は叫び声を上げた。
「しゃらくせええええ」
吸収の魔王はこの戦争から魔王の仲間を全て消滅させた事になる。
怪我をしたモンスター達も吸収され、本当に1体残らず吸収してしまったのだから。
「お前らをぶち殺して、まずはそこにいる両腕の無い男からだ」
「さっきから俺様はお前をボコボコにしている。その度に仲間を吸収し続けているのはお前ではないか」
「るせーこの吸収の魔王は最強だ」
魔王はまっすぐにこちらに走ってくる。
もはや1000体では足りなかったのだろう、
ひどい走り方で、こちらに槍を突き出す。
僕は10本の剣で魔王を串刺しにした。
もはや逃げる隙すら無かったのだ。
次の瞬間、魔王の体が爆発した。
透明感のある沢山の花びらが舞い上がり、
1つの魂が遥か空へと蒸発した。
地面に腕輪が落ちたのを僕は見逃さなかった。
その腕輪を拾ってみると、鑑定眼鏡で調べる事にした。
【魔力操作の腕輪:魔力をスムーズにイメージ出来る】
僕はそれを勇者に渡そうとすると、
勇者はそれを辞退した。
「君が倒したようなものだ」
「でもいいの?」
「ああ、君が全てを代替わりしてくれた。君が僕の分までの両腕を犠牲にしてくれたそれくらいいだろう」
「助かる」
右腕の透明な腕に腕輪を嵌める事とした。
不思議と透明な腕の操作がしやすくなる、それは右腕だけでは無くて、左腕にも影響があった。
「ふう、魔王の脅威も減ったし、後は7人のお嬢様達を助けに行きますか」
「あのう、あそこにいるのって」
玲子が草むらの中に何かがいる事を悟った。
僕はそこに向かうと、まぁ赤ちゃんが這い這いしてました。素っ裸で、
こっちを見て清々しい笑みで、鳴き声を上げてわぁわぁ叫び出す。
「はいいいいいいい」
僕の脳味噌は現実を直接見れる状況下ではない、
なぜなら先ほど魔力操作の腕輪を拾った時、そこには確かに赤ちゃんはいなかった。
違う草むらに隠れてやがったのか、
この赤子はつまり、
「あの魔王の生まれ変わりって奴なのか?」
「ぱぱーぱぱー」
なぜか俺様がこいつの父親になってるし。
「ぱぱーぱぱー」
【赤子の魔王が仲間になりたさそうにしています】
これで拒否したら相当最低なやつだろうと僕は思っているのだが。
どうだろうか?
これってやっぱり魔王をテイムしちゃった適な?
【赤子の魔王が仲間になりした。名前を付けてください】
「お前はボンバー魔王でよろしく」
【おめでとうございます。ボンバー魔王が誕生しました】
俺様は冷静を務めて僕に心の気持をチェンジすると、
透明の右手で赤子を持ち上げた。
すると赤子はきゃっきゃと笑いだした。
どうやら僕は赤子を育てる運命にあるらしい。
勇者山中と玲子さんはこちらに近づいて赤子を撫でると、泣き出すのでやめた。
「な、なぜだあああ。この僕が赤子に嫌われるとは」
「私はどうでもいいけど山中君がね、珍しい事もあるわね」
「リュウケン、お前いつのまに子供を作った」
「作れるかぼけ、冥王、こいつは魔王の転生体だ。さっきの奴の転生体なんだろうけど、記憶がないかもな、敵にこんなにじゃれる訳ねーもん」
「はっは、リュウケン殿も子煩悩ですなぁ」
「玄武、爺にいわれたかねーわい」
その場が静まり帰ると、
仲間のモンスター達を片端からモンスターボックスに入れる事にする。
さすがにこのモンスターの大群で城に帰ったら国がパニックになるだろうし、
ミリーシャ王国のやつらは忠告に来た七つの大罪メンバーを牢屋に入れやがったのだから、ただじゃすまさねー。
俺様は心の中で鬼となるのであった。
僕たちは猛ダッシュでミリーシャ王国に向かった。
城壁では沢山の兵士達が身構えている。
僕たちが魔物を倒したと知ると、げらげら笑っていた。
「本当は逃がしたんじゃーの? あとお前らには逮捕状が出ている。勇者様を脅して奴隷を解放したと言う先程奴隷達が戻って着たから全員捕まえておいたぜ」
「まってくれ僕たちは魔王を倒した。だから奴隷達を解放してくれ」
「それを決めるのは王様だぞ、いくら勇者様とてそこまでは影響出来ないよ」
奴隷達は独自に避難し、国に戻ったのだろう、
そこで兵士達に捕まったという訳だ。
「ならそこを通らせてもらおうぞ」
僕の心の中の怒りはふつふつとマグマのように熱していた。
熱くなった心の温度は、燃え盛るようにぐちゃぐちゃになっていた。
こいつら人間達の腐っているやつらを掃除する。それもいいかもしれないが。
「手をだすな」
冥王と玄武に告げた内容に、
後ろにいる2人は頷く、
ボンバー魔王はキャッキャ笑っているだけで、空中に浮いている。
兵士達はその異常さに気付いているようだが。
「そこのお前は黒魔術の疑いがある。両腕がないのに赤子を浮かばせているからな」
「お前らはそうやっていちゃもんつけて、この国を助けてあげたという恩赦もなく恩を仇で返すのか?」
「そんなの知りませんよ、法律は政務官とかが決めるもので、あっしらではないのです。あっしらは余計な事をして硬貨や紙幣を稼ぐん、ぐあああ、ぎゃああああ、や、やめてくええええええ」
その兵士は天然パーマだという事は放って置いて、
こいつがむかつくので、とりあえず透明な手でつかみ持ち上げてみることに、
突如飛び上がったおっさんの兵士は悲鳴をあげている。
「す、すごい、あの兵士黒魔術を使ってるぞ」
「ま、まじか」
「嘘だろ隊長、あんたもか」
「ちが、ちがうぞ、そこの少年だ」
「やっぱバレた? じゃあお仕置きの始まりだ。数千の兵士など何億を相手にした僕たちには怖くないぞ、なぁボンバー」
「きゃっきゃ」
「ボンバー、きゃっきゃじゃわからないよ」
「うひひひひ」
「ボンバーすごい笑い方するな、誰に似たんだ?」
「俺達を馬鹿にしてるのかああああ」
兵士たちが突撃してきて、
次の瞬間には、
まるで地上と空が入れ替わったように、
次から次へと兵士達が空中に浮かび上がる。
「お、やっぱ魔力操作の腕輪で100本くらいできそうだわ」
100本の透明な腕により、兵士達100名を空高く舞い上がらせる。
そしてそのまま落下させ、
死なない程度に痛い思いをする。
「とりあえずいこか」
「はは、僕は君が怖いよ」
「気にすんな勇者、お、あの城門は堅そうだな、玄武いけるか?」
「まかせろい」
玄武は右手だけをタートルマウンテンにすると、
巨大な右手で城門を破壊した。
ばりばりに吹き飛ぶ扉を見ていてげらげら笑う俺様と、
真っ青になっている勇者、
「おい、てめーら、ここは俺様達が守ったの、その恩くらいねーのかよ、今俺様は虫の居所が悪いんだよぼヶえええええええ」
その時ここにいる人達は思ったそうだ。
こんな化け物集団なら120億の魔王軍がよかったと。
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