第19話 ランク外冒険者

 そこは街の門、

 外には無数のモンスター達がはびこる。  

 街なので城壁と言えども、さほど高い頑丈な城壁ではない、

 単純な壁と言っていい程のレベルそのものであり、


 俺様の後ろには沢山の冒険者が見守っている。

 きっとその中には俺様を騙したあの4人の冒険者達がいるだろう、 

 

 彼らは指名手配されるので、もう俺様の意識外に置いてある。


 今やらねばならないのは、数億のモンスターを倒す為に七つの大罪のメンバーを率いて戦う事であった。


「では皆のもの突撃いいいいい、ぶっ倒しまくっていいよ本気出しまくっていいよ」


【うおおああああああああ】


 美少女達はボスモンスターらしく大きな叫び声をあげる。

 そして彼女たちは本来のボスモンスターの姿に戻っている。


 憤怒のサリィーは巨大なサタンドラゴンに、

 暴食のネメは3つ首のベルゼケルベロスになっているし。

 傲慢のルシュフは4枚羽のファルシグリフォンになっている。

 嫉妬のレイディーは見た目がマーメイドならぬマーメイタンになっている

 怠惰のベリーは右の翼は赤く、左の翼は青いベルフェニックスになっている。

 強欲のゴーナは人間の3倍はあるであろうゴブリンの中の女王ゴブクイーンになっている。

 色欲のサキュラは人形の姿とあまり変わらないが、翼の大きさは大きいサキュモデウスとなっている。


 そこに出現するボスモンスター達の姿に、

 冒険者達と先程から見物している街人達、多種多様な人々がいる中で、

 彼らはショックのあまり涙を流している。

 女性達は何が起きているか理解出来ないようで。


「ちっぎじょうあんなに可愛いのに、ボスモンスターだなんて」


「そんなの関係ねーだろ、てめーら」


「な、あなたはミディーさん」


「彼女達が醜い物になろうと心の綺麗さは変わらないだろう?」


 活かした顔をするミディーさん、

 ちなみに俺様はそのやり取りを見ていた。


 あまり気にせずスルーしておく事にした。


 後ろでは熱き男ミディーが熱弁しているが、

 放って置く事にしつつも。


「みんな油断するなよ」


 そう叫ぶと、

 一斉に7人のボスモンスター達と、

 俺様は走り出した。

 あちらもその動きに対応してか、走り出す。

 その数数億。

 簡単に言えば、


 8体VS数億体


 というありえない構図になっている。

 サタンドラゴンが遥か空を飛翔する中、

 地上を王者のようにベルゼケルベロスがモンスター達を蹴散らし始める。

 モンスター達はまるでボールのように弾かれていく。


 サタンドラゴンの憤怒のような息吹により、モンスター達が次から次へと蒸発していく、

 それでもモンスター達は侵攻を辞めない、

 まるで誰かに命令されているかのように、


 まるでこちらの力を図る為の犠牲となるかのように、


【前世最強】【最強武芸】を使用すると、竜魔人の剣を握りしめる。

 右と左からオークの大群が飛来してくる中、

 真上からはホワイトキメラや、ゼルハーピィーなどがやってくる。


 まさに四方からの攻撃、

 昔の俺様なら即座にやられて人生を終わらせていただろう。


 だが今7人の美少女達が仲間になっている。

 彼女達は街を守る為に、必死で戦ってくれている。


 俺様がそれに答えないでどうする。


 その時全てがごちゃごちゃになってくる。

 そして全ての攻撃パターンが読める。

 それは数億分の1かもしれない、

 でもその1つのパターンに従って、


 ひたすら両断しまくる。

 どうやら【前世最強】から貰える技が増えてきているようだ。


 つまり器が大きくなったのだろう。

 その器がどういう物かは分からない、

 その器が大きくなるにつれて、

 僕も強くなるのだろう、


 惨劇と言っていいかもしれない、

 全てのルートを見つめる事は、

 そこに関わる全てのモンスターを惨劇にしてしまう、

 惨劇のようにひどい殺し方をしてしまうのだ。


 なぜなら、それが合理的、

 そうそれが、効率的なのだから。


 ひたすらの攻撃、

 風のように舞い上がり、次から次へと首が落下する。

 雄叫びを上げている暇はない、

 至る所で仲間達が戦っている。


 そして俺様も戦わずしてどうする。

 こんなところで負けていいのか、

 心の中で何度も自分自身に激を飛ばしながら。

 到達した高みは、それはどこにあるのだ。



 斬って斬って斬りまくれ。


 それが頭に響いてくる中。

 まるで俺様自身がモンスターのように、

 化け物のように右に反れた矢、それを掴むなり、矢を投げる。

 矢を放った奴の目に突き刺さり、死ぬ。


 右に払った竜魔人の剣が2体のオークの右腕と左腕を両断する。

 

 オークの断末摩が響き渡る中、

 ひたすら前へ前へと突き進む。


 左に両断、次は右に両断、

 次は真上だ。

 次は真下だ。


 そこには一切の無駄は必要ない、

 一切の躊躇は負けを意味する。

 全ての可能性を研ぎ澄まし、全ての攻撃を可能にし、

 そして、情けなど無用だとばかりに、


 気付けば、俺様の後ろには数万のモンスターの死体が転がっていた。


 そのモンスター達はまだ始まりに過ぎない事は、

 目の前のモンスターを見て、理解している。




 最初の第1陣が小型モンスターなら第2陣は容赦のない大型モンスターばかりであった。

 竜国オーガや爆発トロールなど、幾多のモンスター達がこちらを見据えている。

 右と左を見ると、いつの間にか合流を果たした七つの大罪のボスモンスター達が揃っている。


 僕は竜魔人の剣を鞘にしまうと、

 神仏のメリケンサックで対応する。


「剣だとあの分厚い肉を両断するのに少しめんどくさそうだ」



 別に俺様は両断出来ないと言っているのではない、

 めんどくさいと言っているのだ。

 分厚い肉には斬撃より衝撃波のほうがいいのではないかと、

 勝手な想像で決めた事。


 俺様たちは大きな声を発して、


 突撃を始めた。

 まるでインパクトのように人間1人と美少女モンスター7人と数億のモンスター達の戦いの続きがまた始まった。


 後ろでは沢山の人々があっけに取られているだろうと、

 この時の俺様は思ったほどだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る