第9話 強欲のゴブクイーン

 僕と5人の問題のある美女達は順調にゴミダンジョンの最下層を目指していた。

 きっとどこかにいるであろう残りの2人の美女を探す事も忘れないようにしつつも。


 僕は5人の美女に応援されつつ、俺様にモードチェンジしながら、

 モンスターを片端から倒すようになっていた。

 まだ自分のスキルとかレベルを把握していないのは、残りの2人を仲間にしてから確認する事にしていた。



 5人の美女と話をしたりしながら、僕は最下層を目指す。


 最初は初めて出来た仲間に裏切られた。

 それから人間不信になったが、すぐにそれを解消してくれたのは、

 人間ではないが、姿形や心は人間の七つの大罪と呼ばれる美女達だった。


 彼女達と出会って、僕は変わった。

 いや、変化せざるおえなかった。


 モンスターを倒して倒しまくる。

 相手のレベルはいつしか2000レベルに到達していた。

 バトルそのものは異常そのものだ。


 ゴブリンみたいな奴が一気に10体出てくると、

 音速のスピードで俺様と斬り合うのだから、

 それに対して俺様は3つの最強スキルを活用しながら、

 水竜神の剣と武神のメリケンサックと馬神の弓を使って敵を瞬殺している。


 巨大なゴーレムが出た時は焦ったが、

 圧倒的なパワーを見せつけて、圧倒的な防御力を破壊してみせる。


 オーガの双子には本当に苦労させられた。

 1体が攻撃なら、1体は遠距離攻撃で、

 2体とも瞬足で動く、

 もはや人間の目では見られないレベルに到達しており、

 それに対して対応出来る俺様も俺様で化け物だが、


 美女達はそのスピードを普通に目視出来ているようで、

 リュウケン右とか、王子様上とか、眠いとか腹減ったとか色々な声が聞こえる。


 ちなみに小人族のベリーは背中で眠っています。

 こんなに命がけのやり取りをしているのに、背中の美女はお眠だそうです。


 そしてついに僕たちは500階層に到達していた。


 ここら辺のレベル帯は3000レベルであり、

 もはや俺様がどれだけ強くなっているのか興味がある。


 油断が出来ないのだ。

 7人の美女が仲間になってから確認すると言ったのは、

 本当に右を見ていれば左から攻撃されるような状態。


 このゴミダンジョンは300階層からゴミが目立つようになり、

 その隙間にモンスターが隠れているパターンが多く。

 こちらが美女達と会話していたら、不意打ちが来た事なぞ何度でもある。


 なのでここで自分のステータスをほれぼれと見ていたら、

 そこで死ぬだろうし、

 ステータスを見るのは最低限必要な時、

 美女達に守ってもらっている時だ。


 だから7人全員のボスモンスターである美女を仲間にするのがベストだから。

 そして最下層のラスボスを倒す為に。


「やっと着いたわね、色々とご苦労さん」


 ツンデレ美女のサリィーが褒めてくれる。

 僕はにこりと頷いて置いた。


「はふー何か食べたい」


 食い意地の張ったネメはいつでも食べる事しか考えていない。


「まったく、あなたはそれだからダメなのですわ、もっと強気になって、俺様モードにならなくても、僕モードでも何か出来ないといけないのよ、世の中はモンスター社会でね、モンスターは強くなければ、よい美女とも出会って交尾ができないのよ」


 恥ずかしい事をプライドを持って発現する彼女はルシュフだった。

 ルシュフはいつも基本的にずばずばと言うタイプで、お嬢様と言うと、にこりとホワホワ状態になる。


「はううう、王子様、すごい格好いいです。いつまでもいつまでも王子様でいてください」


 なぜか僕の事を王子様という事を止めない彼女はレイディーと呼ばれており、七つの大罪では嫉妬だったはずで、もしかしたら僕が七つの大罪の美女以外の人と仲良くしたらやばいかもしれない。


「ぐーーーーぐぐーーーーー」


 先程から僕の背中で寝ている小人族の美女は、

 ずっと寝ていた。


 ベリーという名前があるにも関わらず、その名前で呼んでも反応がありません。

 彼女はきっと永遠を寝て過ごすのでしょう。


「さてみんな行くぞ」

「「「「「うおおおおおお」」」」」


 全員が雄たけびを上げて、

 その扉を開いた。

  

 そこには沢山のゴミがあり、

 その真ん中で腕を組んで待っている巨体がいた。


 それは見るからにゴブリンの上位主なのだが、

 結構な巨大さなのだ。


―――――――――――――――――――

強欲のゴブクイーン:レベル????

―――――――――――――――――――


 僕は念の為その女性ゴブリンを見て、鑑定ではなくてレベルと名前を把握して置いた。

 簡潔な鑑定みたいな物は別に鑑定眼鏡を使う必要がなく、だからと言ってずっと鑑定眼鏡を装備したまま戦っていたら、毎回レベルやステータスやスキルが見るので、鑑定眼鏡をはずしたりつけたりする必要があるのだ。



 強欲のゴブクイーンという事は、

 七つの大罪の仲間だと思っていいだろう、

 という事はボスモンスターだがテイムする事が出来る。


 今の所分かっているテイムの仕方は、


 相手のモンスターを惚れさせる。

 相手のモンスターのキープレイをする。

 相手のモンスターに圧倒的な力を見せる。

 

 3つくらいしか分かっていないが。

 それでもやってみる価値はあるだろう。


 僕は水竜神の剣を抜かない、

 武神のメリケンサックを右手と左手にはめたまま。

 ゴブクイーンも右手と左手の拳で戦うようで、

 しかも相手は両手に爪みたいな武器を装備している。


「がんばるのよ、ふん」

「がんばって、食べてきて」

「まったく、それだからダメなのよ、もっと腰をぴんとして」

「はわわ、王子様死なないで」

「ぐーーーぐーーーーー」



 ちなみに怠惰のベリーさんはサリィーに預けて置いた。

 こちらをベリーさんが助けてくれたら対等ではないし、

 テイムする上で邪魔になる可能性があるからだ。


「それにしてもまわりのゴミはすごいなぁ」


 ガラクタ、またはぶっ壊れた剣や盾、

 馬車の車輪や馬車の幌、大工で使われる壊れた道具、

 ありとあらゆるガラクタが置かれてあった。


 なぜかゴブクイーンには黒いオーラみたいな物が噴出していなかった。

 ここまでくるのに別ルートがあった訳ではなかった。

 しかしよーく観察すると、

 ゴブクイーンの額に小さなツノから黒いオーラが出ている。

 つまり本来のゴブクイーンの強さが半端ではなく、黒いオーラの力が弱まっているという事だろう。


 まったく何者なのだろうか、その100年前にゴミダンジョンにやってきた魔王はどういう人物で、最悪な人のような気はしないのだ。こんなに心の綺麗な美女たちを、いつか来るであろうモンスターテイマーの為、そしてその規格外のテイマーが美女達を外の世界に連れ出してくれるのだと。


 まぁ考えても仕方がないんで。


 本気であいつを惚れさせてやる事にしましょうか、


 僕は俺様に変貌する。

 さらに俺様はもっと俺様に変貌する。


 右手と左手の武神のメリケンサックを握り絞め。

【前世最強】を発動し、神の如し強さの前世の力の一部を開放する。

【最強武芸】を発動し、全ての武芸の達人となり、メリケンサックを使っての戦いに達人へと変貌する。

【乱舞無双】マジックポイントではない力を消費する。それは気力や魂そのものであり、拳で無双をする。


 俺様はゆっくりと立ち、

 ゴブクイーンがこちらを凝視している中、

 拳が閃いた。

 次の瞬間、ゴブクイーンの拳も閃いた。

 もはや拳と拳がただ立っている2人の女と男をかすめる。

 

 拳はハンマーのごとく流星のように落下していく。 

 だが奴は緑の巨星かごとく星ではなく太陽そのものを投げてくる。


 俺様は別に比喩を使いたくて使っている訳ではない、 

 彼女の攻撃がそのように感じさせてくれるほど、

 眩しすぎる存在である事が分かる。

 その時一筋の光の拳が、

 僕の顎をとらえて、俺様は真上に吹き飛び、

 右手と左手で天井に張り付く、

 それは重力が風力で無効化され、天井に張り付いているだけであって、

 別にカエルになった訳はない、


 風力の効果が消えたその時、

 俺様は下へジャンプした。


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