On Monday Morning

aoiaoi

ピンクのリップ

 月曜。待ちきれず飛び起きる。

 髪を丁寧にブラッシング。土日はボサボサのまま1日中ゴロゴロしてるけどそれも大事。月曜の美しさに向けた心身の休養だから。

 絶対外せないポニーテール。自分の頭の形が結構好き。髪の艶が輪のように光るまで、丹念に櫛で髪を持ち上げる。そしてつむじのちょっと下、そうこの位置で纏める。絶対ここじゃなきゃダメ。

「綺麗だよ」って、あの声が聞きたいから。

 やりなおし5回。肩が死にそうだけど、うん。完璧。

 ピンクのリップを薄ーく。気づいてくれてるのかわからないけど。

 どどどっと階段を降りる。「そんな降り方じゃ彼氏できないよっ」ママから無神経な言葉が飛ぶ。いーもん別に。

 テーブルのトーストを2、3口齧り、オレンジジュースを一気飲み。洗面所へ駆け込み歯磨き。朝の挨拶にミントの香りは不可欠でしょ?

「いってきます!」


 あーやばい、ポニテに手間取って遅刻気味。

 7時30分にあの曲がり角。

 そのタイミングなら、会える。会えるのに。

 今日はもう7時38分。


「あー……」


 曲がり角でがっくり肩を落としかけた私を、ガバリとヘッドロックが襲った。


「朝練サボったら、あんたに会えた。ラッキー」


 頰に触れる柔らかな胸の感触。

 美しい切れ長の一重が、私を見下ろした。



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