第417話 このまま移動→海→特殊クエストに進行???


 美紀、エリカ、七瀬、瑠香と楽しい時間を最後過ごした蓮見は罰として四人の荷物持ちを命じられ、か弱い身でありながらその使命を文句なしに遂行していた。

 新幹線が目的地である駅へと着き降車。

 そこから始まった四人の荷物持ち。


 ホームを抜け、改札口を通過する。


 そこで見かける多くの人から見られる蓮見。

 その視線に苦笑いをしながらも最後は瑠香に「もしかして蓮見さん。お母さんに気があるんですか?」と新幹線の中で言われた時はマジで終わったと内心思った蓮見ではあったが間一髪の所で救世主がお手洗いから帰ってきてくれて無事に五体満足でいられたわけだがそれで根本が解決するわけでもなく今に至る。


「ったく、いろんな女に手を出して。てか、人妻にまで手を出すとかありえないから……」


 不機嫌そうに隣で毒を吐く美紀。

 だが、と蓮見は思う。

 別に不祥事は何一つ起こしていない。

 なのになぜ美紀がこんな事を言うのかがよくわからない。

 それに視線を飛ばせば近くにいる七瀬や瑠香までも。

 しまいには普段は優しくてニコニコしているエリカまでも少し不機嫌なように見える。

 そんな不機嫌そうな女の子達の視線は先程から蓮見と少し前を歩き皆を先導する朱音の背中へと何度か向けられていた。


「いや手は出してないぞ?」


「でも楽しそうだった……」


「それは否定しないが……何でそんなに不機嫌なんだ?」


「う、うるさい!」


 そう言って美紀はエリカの方へと逃げて行く。

 これは先が思いやられると全ての元凶であり根源でもある者は思う。

 それがこれから行く海やゲームの中で行われる特殊クエストに影響がどう出るのやら、と。

 事実この先そうなりそうなのだが、今の美紀達では蓮見の力にはなってくれないだろう。

 運営からのメッセージでは『恐怖のお化け屋敷を攻略せよ』という夏の定番をそのままクエストにした難易度高めのクエストなのだが、情報収集を相変わらずしていない蓮見はその事を一切知らない。

 当然プレイヤーKillあり、ということも。


「お母さんに手を出すなら私に出してくださいよ……蓮見さん」


「それってどういう意味?」


「やっぱりなんでもありません!」


 やはり瑠香もいつもと比べると様子が可笑しい。

 そう思うもなぜそうなのか心当たりがない男は歩きながら首を傾ける。


「ねぇ、蓮見?」


「はい?」


「蓮見って年上好きなの?」


「……別にそうじゃありませんけど?」


「ふ~ん」


「なんですか?」


「べつに」


 今度は七瀬までもが納得してなさそうな顔で側を去っていく。


「もしかして俺……盛大になにかやらかした?」


 一人になった蓮見は五人分の荷物を運びながらもしかして自分に原因があるのではとようやく考える。

 

 ――。


 ――――。


 一人蓮見が普段使わない頭を使い新幹線の中での出来事を思い返していると声が聞こえてきた。


「ならみんなここからはタクシー二台でいくから乗ってー!」


 そう言ったのはこの状況でありながら上機嫌な朱音。

 そして荷物を乗せてそれぞれが乗車し二台のタクシーが六人を海へと運ぶ。


 その間蓮見は色々と考えてみたが、結果として「やっぱりわからん」と脳内で結論をだした。


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