SSストーリー 夏休みの神災編【特殊限定イベント終了後】~3人の想い出~
第392話 反撃の運営室 (SSストーリー:プロローグ)
蓮見こと神災者。
今では【異次元の神災者】としてその存在を確立し多くの者に注目される者。
そんな者に好き勝手暴れられてはこちらとしても黙ってはいられない。
そう密かに思う者達が運営室にいた。
その者達は特別限定イベントを通してゲームのバグが露見され、休日返上を余儀なくされた者達。
「まったくやってくれたな……」
「てか、あんなバグあったのか……」
「ってことは私と彼氏のイチャラブタイムは?」
心配そうに声をあげる者に責任者は決め顔で答える。
「……なしだ!」
すると女の顔から表情が消えた。
――。
――――。
「提示板盛り上がってるけど……俺達はその反対」
「まぁ、それはともかくお前達に一つ聞きたい事がある」
責任者は椅子から立ち上がり三人の男と表情を失った女をそれぞれ見て身振りを入れて問う。
「このまま神災に暴れられて俺達の自由がなくてもいいのか?」
その問いかけに四人は周囲を見渡し始める。
責任者は続ける。
「【異次元の神災者】が三人になると言うなら……」
「言うなら?」
「俺は思った! もう大人げないとか関係ないと!」
「おぉ……それで」
「小百合を超える小百合を俺達の手で作ろうではないかと! それと同時に雇ったエンジニアにバグを修正させ、次のイベントの準備とフロアのボス戦アップデートを整えようではないかと!」
責任者は心の声を大にして叫ぶ。
「向こうが三人ならこちらも三人までは増やしてもいいのではないかと! 神(災)に対抗できるのは神(災)しかいない! なによりそれを上手く利用すればいいのではないかと! 故に――」
ゴクリ。
四人が息を呑み込んだ。
それだけ責任者が発する声が、周囲の空気を震わせていると錯覚するぐらいに凄いのだ。
「――夏休み、アイツを地獄に落としこの神災地獄から俺達が抜け出そうではないか! 本イベントの前に急遽別のイベントを更に企画し実行。それから自然な形で神災に天罰を与えてやろうではないか! そのついでに【異次元の神災者】に加担する者たちもまとめて倒す! もっと言えば倒さずとも、【異次元の神災者】以上に警戒する者をこちらが使役するとこで俺達の未来を皆で掴もうぞ!」
まるで演者のように熱を入れ、立場上部下を鼓舞する立場である者は、
「反撃の狼煙をあげる時は来たぞ! 家族や恋人とこの夏は過ごしたくないかッ!? そう思うなら八月になる前の七月である今こそ頑張るときではないのかッ!? 俺はお前達に問いたい。人(多くのプレイヤー)は何故神災を愛するのかと。それは間違っているのではないかと。なぜなら神災が社長を虜にしなければ俺達の未来はもっと明るかったはずではないかとッ! リリース直後は忙しいと皆が覚悟をしていた。だけど……。アイツ(予期せぬ者)が現れてからはなんだッ!? 毎月売上右肩上がり、プレイヤー増加、それによるサーバー強化、強化、強化、神災と呼ばれるサーバー負荷による更なるサーバー強化、強化、強化、強化、バグ見つかる……。アイツは会社にこそ億を超える利を成しても俺を含む百人近くの人間には不眠不休の生活を与えた害でしかない。だからこそ――」
目に希望の光を宿して、
「俺達がゲームの神様であり絶対だとッ! 本気になれば神災ですら手玉にとれるのだとッ! 見せつけてやろうではないかッ! そして、俺達の現実(リアル)を護ろうぞッ!」
四人に告げた。
すると――。
「「「「ウォォォォォ!!!」」」」
四人の雄たけびが機械音がする運営室全体へと広がった。
こうして【異次元の神災者】攻略の為、運営が本気で動き始めた。
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