第223話 緊急開催 ミニイベント告知


 エリカと一緒に疲れ切った蓮見にメッセージを言い残して闘技場を出た美紀。

 どうやら見た目以上に蓮見本人が疲れているようなので今日は名残惜しいが一人で何かをすることを決めた。


「それにしても【神眼の神災】と神の力を扱う者呼ばわりされている紅でも一戦でバテることあるのね」


 ある意味白熱した試合だけだった為に本人の体力が僅か十分程度の戦闘で全部持っていかれる。これはこれで無尽蔵でないと知った美紀はある意味心の中で安堵していた。ゲームの中の蓮見も人間なんだってそう思えたからだ。


「それにしてもこの後どうしようかなー」


 エリカは用事があると言い三人で一時間程話した後そのままログアウトし、蓮見は今美紀があげたゴールドを使い屋台巡りをして体力回復に努めている。それにこの後体力が回復したらログアウトして蓮見は蓮見で母親の手伝いをしないといけないらしくどう頑張っても今日は一緒に遊べないのだ。


「まぁ、夜は一緒にいられる事になったからいいんだけど……。あの試合を見た後じゃ気持ちが昂り過ぎてこのままログアウトは出来ないわよねー」


 一人呟いていると運営からメッセージから届く。

 それも今ログインしているプレイヤー全員に一斉に届いたのだ。


 美紀がとりあえず目を通す。

 そこには、


『緊急開催! ミニイベントのお知らせ!』


 と書かれていた。


 美紀の目が大きく見開かれる。イベント大好き人間にとってはこの文言だけでも次の目標が秒で決まってしまう程の興味がある文言だからだ。


「えっと、どれどれ……」


 美紀はメッセージに書かれた内容にしっかりと目を向けて内容を確認していく。


「内容は参加は一人から可能で上位十名に入賞すると、ギルド専用アイテム上位ギルド認定書【一】を配布。尚ギルドに配布の為誰か一人でも入賞していれば全員がその恩恵を受けられる。また参加メンバーが一人でもいるギルドは中級ギルド認定書をギルドに配布する。このアイテムは後日追加されるクエストをクリアする事で後からも入手可能――」


 美紀はその言葉にこれは参加一択しかないと思う。アイテムの横に数字があると言う事は少なからずレベルアップ機能やその認定書に合わせたなにかが今後あると言うことだ。そうなれば当然欲しいの一択になるのが美紀である。


「ん? なになに――認定書を持っていると第三層にて強い敵と戦う交戦権の獲得やスキル入手限定クエスト受注並びに発生など様々な役割がその認定書のレベルに合わせて行われる」


 この時、美紀の勘が働いた。

 先日瑠香が遭遇したと言うゾンビの群れの場所ももしかしたらこれを入手することで何かが起きるのではないかと。つまりそういうポイントが各地に予め設置されており、このイベントを参加することで先行でそう言ったイベント発生等を受けられる仕組みを運営が作って来たのだと。


「そうなると、全員招集してルフランや綾香対策をしながら入賞しかないわね」


 真剣な表情で勝ちに行くことを考える美紀。

 そこに遊び心はゼロではないが殆どない。

 だって参加する以上勝ちに行きたいし、今後の役に立つと思えば一秒でも早く手に入れたいと思うのは当然の事である。


 その時だった。ある人物の声が聞こえてきた。


「どうされたのですか?」


「いや、なに。里美、綾香、ソフィ、リューク達と戦える機会が運がいい事にすぐに来たと思ってな。それに【神眼の神災】との再戦の機会もな」


「しかしルフラン様は先程勝たれたではありませんか?」


「そうだな。手加減された【神眼の神災】にはな」


「まさか!?」


「あの男はまだ死んでいない」


 と【ラグナロク】のギルド長と幹部メンバーの一人が会話をしながら近くを通りかかったのだ。

 そして美紀の闘争心に完全に火がついてしまった。

 メラメラと燃え上がるその闘争心はどんどん激しく燃えていく。


「今度は私も狙われるってことか……」


 一人呟き、ニヤリと笑みを溢す美紀。

 準備はしているし、必殺となるスキルも先日手に入れた。

 負ける不安要素は限りなくゼロに近い。

 そして――。


 美紀は心の中でイベントまでにさらに強くなることを決意した。


 間髪入れずに【神眼の神災】とトッププレイヤー達が交戦を続ける事になる第三層はやっぱり奥が深いと言えよう。そしてそのトッププレイヤー達ですら苦戦する敵がうじゃうじゃいる以上やっぱりレベル分けに似た仕切りが何か一つは必要だと言えよう。


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