第105話 美紀の準備
――翌日。
蓮見と美紀はあれから修行が終わり、ログアウトして一緒に寝ていた。二人一緒に寝ると、少し狭くなるがお互いの距離を縮めると言う意味では丁度いい大きさのベッドである。
「あれ、もう朝か……」
瞼を擦りながら目を開けると、蓮見の寝顔が入ってくる。
とても気持ちよさそうに寝ている蓮見を見て、美紀は朝から幸せな気持ちになった。
「キスしたいなぁ……」
小声でそう呟いて、寝ている蓮見の顔をジッと見てみる。
だが、起きる気配はなさそう。
そう思い、美紀は素直になった自分の心と葛藤する。
女の子からそう言った行為をして、アピールするのはどうなのかな……と。
もしこれで迷惑だったらどうしよ、嫌われたらどうしようと考える。
そして。
「……はぁ。今日は我慢しよ」
美紀、お布団の中で大きくため息を吐く。
「もぉ~、はやく私に告白してこい……ばぁ~かぁ~」
小声でぼそぼそと蓮見の頬っぺたをツンツンしながら呟く。
すると良い夢を見ているのか蓮見がニコニコする。
その仕草に美紀の心が朝からキュンキュンしてしまう。
「……むぅ。日に日に想いが大きくなってる気がする……これはマズい……」
嬉しくも複雑な気持ちに美紀が戸惑う。
それからしばらくお布団の中で横になって蓮見の頬っぺたをツンツンして遊ぶ。
普段は恥ずかしくて絶対に出来ないが、警戒心が全くない寝ている蓮見になら普通にできた。普段からこれくらい可愛いかったらいいのにと思いながらも、自分だけに見せてくれる寝顔に心が満たされていた。
「良し、満足したし起きるか」
そう言って美紀はお布団から起き上がって、大きく背伸びをする。
それから部屋の窓を開け、自分の部屋に行って鼻歌を歌いながら今日何を着ていくかを決める。
全身が映る鏡の前で黒のワンピースや膝上までの花柄のスカートをかざしてをみたりと今日は朝から気合いが入っていた。
「う~ん。蓮見ならどんな私が好きだろ……」
頭の中でこの後の事を考えて見る。
「やっぱりこっちかな~」
鏡を見て納得がいかないのか、持っていた服をベッドの上に置き別の服を手に取る。
「違う、ならこっちかな?」
部屋にある衣装ケースから沢山の服を取り出して、色々と悩む美紀。
久しぶりのお出掛けだからこそ、少しでも自分を良く見せたい。
年頃の女の子だったら誰しもが思う感情を胸に美紀は悩む。
どうせなら素足を出してとも考えるが、これがまたどのスカートでいくかそしてそのスカートとは別に上の服を決めるのはかなりの重労働。
「久しぶりにヒール履くなら……やっぱりこっちかな」
頭の中で色々とイメージしながら、服装を決めていく。
そして美紀は右手に持っている水色をベースとしたスカートに白シャツで行くことに決めた。スカートの丈は膝上までの奴だ。
「うんこれにしよ! それにしても蓮見喜んでくれるかな……」
服が決まった美紀は頬を緩ませて、ニヤニヤしながら早速着替える。
それから朝ごはん、朝の身支度を済ませて最後に薄いお化粧をする。
「うん。バッチリね!」
それからショルダーバックを持ち、ヒールを履いて蓮見家に向かった。
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