拍手 008 九十八話 「初級終了」の辺り?
ティザーベルが魔法薬を必要としなかった理由は簡単だ。依頼を受けて危険な場所に行く際には、対物対魔両方を完全遮断する結界を張っているので、まず怪我をするという事自体がない。
これはラザトークス時代から行っている事で、ティザーベルと同行する人間は恩恵に預かれるのだ。
そういえば、いつぞやレモが真剣な表情で結界にかこつけて依頼料の分け前方法についてあれこれ言ってきた事がある。ティザーベルの尽力のおかげで危険度が格段に下がるのだから、多めに金を取れとかなんとか。
今のところ、魔物素材に関してはこちらに全て渡るようにしてくれているので、依頼料の分け方を変えるつもりはない。これまで通り、頭割りだ。
どれだけ結界を張ろうとも、危険な事には変わりないし、何より二人がいなければ乗り越えられない壁も多かったのだから、彼らが受け取る金額は正当なものなのだ。
――これからも世話になるかもしれないし。主に対人の依頼に関して。
オダイカンサマとして、盗賊討伐の依頼は現在受けていない。だが、依頼のついでに向こうから仕掛けてくる場合、逃げずに受けて立つ為、結果として討伐する事になったのはある。あるというか、そのせいでおかしな二つ名がつく程にはあった。
そうした場合にも、適切に対応しくれる二人がいなければ、ティザーベル一人では困った事になっただろう。血迷って、大穴を掘って全員生き埋めにしかねない。
だから、二人にはきちんと依頼料を頭割りで受け取ってほしいし、ギルドの点数も受け取ってもらわないと困るのだ。
――これも持ちつ持たれつ、ってやつよね。
いい加減、盗賊達も悔い改めて足を洗えばいいのにとは思う。もっとも、ティザーベルの知らないところで、数多くの盗賊達がオダイカンサマの噂を聞いて足を洗い辺境に隠棲しているのだが。
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