第227話
さて……狩りの方だけど、やり方は簡単だ。
クロに敵を引き連れてきて貰って、それを俺や隊員さん、米軍の人らでひたすら倒すってだけである。
まあ、トレインってやつだね。周りに自分たち以外に人が居ると轢いたりしてトラブルになったりしかねないけど、幸いこの辺りに居るのは俺たちだけである。
他の米軍は一つ浅い階層に行ったからね。そしてここは一般人も居ないとのことだ。
安心してトレイン出来るってものである。
「もうちょい増やしていいよー」
俺の言葉にクロは『にゃっ』と答えて次の敵を釣りに行く。
鳴き声が嬉しそうだったし、トレインするの事態は楽しいらしいね。
クロが一度に釣ってくるのは大体50体前後である。
そのうちの半分以上を俺と隊員さんが引き受けて、残りを米軍が受け持つ感じで狩っている。
米軍が二人で一体にあたる感じかな? 怪我もなさそうなので良い感じではある。
大体一体倒すのに1~2分は掛かってる。
そして敵を釣るまでに掛かる時間は3~4分ってところだ。
倒すペースを考えるともっと早く釣ってきても良いのだけど、敵の分布がまばらなんだそうな。
釣ろうと思えば100でも200でも釣れるけど、それをやると隊員さんはともかく米軍に死者が出かねない。
クロも数を調整してトレインしているので、持ってくるまで時間が掛かってるんだそうな。
ちなみに3万ってのは一人当たり1000体を目標にしているからだ。
それだけ狩れば浅い階層でもレベルは上がるはずである。怪我もしないだろうし、少し精神が削られるだけで安全にレベルを上げられるのは良いことだ。
ただちょっとペースがなあ……。
「1時間で1000ってとこかな。一日6時間狩るとして6千体……3万体を狩るまで5日掛かるなあ、もっとペース上げたいけど……俺もトレインするか?」
出来れば常に戦いっぱなしになるぐらいには敵を釣りたいんだよね。
そうすれば1時間に2000体、1日に1万2千体を狩れるわけで、2~3日でレベルが上がるはずだ。
効率としてはかなり良いだろう。
それなら期間の間に二つはレベルを上げる事が出来る。そうすれば14階でも安定して狩れるんじゃないかな……たぶん。装備が心もとないけど、そこは気合でカバーして貰うっきゃない。
「んじゃ、俺も釣ってきます」
「え」
と言う訳で、俺もトレイン開始だ。
後ろから何やら静止の声が聞こえたがスルーだスルー。いっぱい狩ってね!
「ん、ご飯の時間だ。クロー!こいつで一旦切り上げるよー!」
いっぱい狩りました。
結局夕飯の時間になるまで狩り続けちゃったよ。いや、夕飯にしてはちょっと遅い時間かな? まあ、いいか。とりあえずご飯だご飯。
「お、終わった」
俺が切り上げると言った瞬間、米軍の人らがどっと崩れ落ちる。
ちょっと最初から飛ばし過ぎたのだろうか。それともポーション抜きで戦ってた? 息が上がってるわけじゃないし、それはないな。
単に連戦が精神的にきつかったのかな。
まあ、その内慣れるとは思うけど……ただまあ、辺り一面血の海だし死体ごろごろ転がってるし、この状態で戦い続けるのはちょっちきつかったかもだ。
隊員さんも疲れてそうだけど、あれはどっちかと言うと敵の見た目にやられたんじゃなかろうか。
ま、とりあえず切り上げて夕飯にしよう。
死体は念のためブレスで処理しておいたとだけ言っておこう。
素材を持ち帰らないのかって?
……さすがにあれはちょっといらないかなあって思うんです。絶対食っちゃあかん奴だよあれ。
米軍は持って帰ってたけどさあ……夕飯に出す気じゃないだろうな?
もし出したらブレスで薙ぎ払ってしまうぞっ。実はダンジョン外でもちょっぴりブレス出せたりするのだ。人間やめてるねっ!
「皆さんお疲れさまです。戻ってご飯にしましょうか。ここからなら走って戻ればすぐですし」
俺の言葉に喜ぶ米軍の人ら。中には抱き合って喜び合う人までいたりする。
……そんなキツかったのかあ。ちょっと内容については後で相談かな?
走って10階まで行き、そこから休憩所へと戻った俺たちは装備を置いてホテルへと向かう。
既に夕飯の準備はされていたので、各自席について適当に料理をとって食事を始める。
「うーん。美味しい……のかな」
「まだ慣れないねえ」
俺も適当にとって北上さんと一緒に食事をしていたけれど、お互い高級な料理にはまだ慣れないようだ。
お肉とかは普通に美味しいんだけどね。マーシーの料理のほうが正直言って俺好みだったりする。
それは米軍の人らも同じなのかな? あまり食欲あるようには見えないし……そうだ、明日のご飯はBBQ広場で食べるかな。せっかくだし飛竜のお肉を出しても良い。食べればバフも付くし、狩りもよりスムーズにいくだろう。
何より美味しいお肉を食べれば元気になる。
うん、それが良い。
とは言え、向こうがホテルを用意してくれた訳だし、俺が勝手に決める訳にはいかない。
あとで隊員さんとウィリアムさんに相談するとしようか。
お互いの交流のためにより気安く楽しめる場でとか言えば通るでしょ。たぶん。
へい、都丸さーん!
「ふむ……では俺から提案してこよう。おそらく拒否はされんだろうさ」
さすが。話が早いぜ。
早速、都丸さんがウィリアムさんの元に向かい、話始める。
話を聞いたウィリアムさんは驚いたように、こちらの方へと顔を向ける。
そして一言二言、都丸さんと話すとこちらへと向かってきた。
気のせいかウィリアムさんの目がキラキラ……というかギラギラしとるな。
そんなにお肉食べたかったんかしら。
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