第176話
その後はケーキを追加で食べてコーヒー飲んで、薪が燃え尽きたところで解散となった。
家に戻ったは良いけどまだ寝るには早いので、お茶を飲みながらテレビを見ているとダンジョンに関連したニュースが流れ始めた。
まあ、毎日大体何かしらダンジョン関連のニュースは流れてるんだけどね。
「……この様に以前は満員だったこの施設も、今では半分以下に入居者が減っています」
「こちらの病院では以前は寝たきりの患者で埋まっていたベッドも……ご覧ください、今ではこの様に空きが半分以上となっています」
「もう結構な数配布してるんかなー」
ポーションが徐々に行きわたって、寝たきりだった人が徐々に回復していってるってニュースだった。
あと介護関係の人がお仕事減りつつある……と言うお話もあったね。
職を失った人を優先し、ダンジョンへのトライアルを……と言う話もあるとかなんとか。
やっぱダンジョン……と言うかポーション出てきた事で色々と影響出てきてるんだなあ。
お偉いさん方がどうにかすると思うけど……俺たちはダンジョンの攻略進めないとね。
「……んん?」
そのままお茶飲みながらニュースを眺めていたのだけど……なんか、なんかね。体格とか髪型とかどうも見覚えある人物がテレビに映ってたのよ。
「モザイク掛かってるけど、これ……中村じゃん。何しとんのだ」
クリスマス、一人で寂しく鍋をやっているはずの中村が、なぜかテレビのインタビュー受けてた。
内容はダンジョンの攻略状況とかそんなのだった。
てかモザイク掛かってるのが受ける。
まあ、映ってたってだけで特に何かがあった訳ではない。
……ちょっとだけお鍋の内容を豪勢にしてあげようなんて思ったぐらいだ。
そんな感じで今年のクリスマスは終わったのであった。
クリスマスから二日後の早朝。
たまにはカフェルームで朝食でもと思ったら、都丸さんが一人で茶をしばいていたのでご一緒する事になった。
トーストにオムレツとウィンナー、サラダにスープとデザートもついて……と中々豪勢な朝食を頂いていると、ふいに都丸さんが話し始める。
「来月から俺たちのチームに犬が加わる事になった」
「あ、やっと決まったんですね。おめでとうございます」
やっとかーって感じだ。
隊員さんの負担を考えるともっと早くと思わなくもないが、色々あったし仕方ないか。
ともあれこれで隊員さんもだいぶ楽できるはず。カード集めも捗る事だろう。
「ああ、ありがとう……これでだいぶ楽になると思うが」
「なると良いですねー。ところで何の犬になったんです?」
気になるよね。
俺たちと一緒に潜ることも考えると相性とかもあるし、あまり吠えないと良いけど。
「それは……見るまでのお楽しみにしておこう」
そう視線を横にそらして呟く都丸さん。
……いや、それだとお楽しみとか言われても不安しかないのですがそれは。
まじでどんな犬になったんだ……。
その後少し粘ったけど、結局分かったのは大型犬とだけだった。
まあ、そりゃ大型犬でしょうよ……一体どんなのがくるのやら。
秋田犬とか?確か熊狩りとかやってたような気がするけど……ううむ、気になる。
気になるが、教えて貰えない以上は待つしかない。
導入されたら合わせてくれるそうだから、その日を楽しみにしておくとしようか。
そしてついに餅つきの日がやってきた。
俺とクロは朝から慌ただしく荷物の準備をしていた……まあ、慌ただしいのはクロだけど。
ちゅーるの試作品が届いちゃったんだよね。
予想よりも大分早い到着だ。
こんなあっさり作れてしまうもんなのかねー?
まあ届いてしまったものは仕方がない。
クロはじいちゃんばあちゃんの家にちゅーるを持って行って、そこで味見をするつもりのようである。
さっきからどれを持っていくか、箱をゴソゴソと漁っているのだ。
「クロー準備できたー?」
「そんなに持ってって食えるの……まあ良いけど」
……結局全部もっていくつもりのようだ。
一日何本食うつもりなのだろうか……ご飯が食えなくなっちゃうぞ。
まあ、とりあえず準備は終わった。
荷物を車に詰め込んで、あとは北上さんに声を掛けるだけである。
ちなみにまだダンジョンに引き籠り継続中である。
さっき準備できたら声かけてーとメッセージきていたので、もう準備は出来てるだろうね。
「北上さんどうですかー?っと」
メッセージは送った。
たぶんすぐ来るだろう……って思ったら、もう足音が聞こえてきた。
「おまたせー、準備できたのかなー?」
扉を開けて、姿を現した北上さんを見て……思わず固まった。
「どったの?」
「かわい……あ、いえ私服みたの初めてだったなーと……」
私服だったんだけど、いつもとイメージが違う。
いつも迷彩服のイメージだったから私服が新鮮……もこもこした白い上着と、下は短めのパンツに黒いタイツと雪道仕様のちょいごつめのブーツ。
若干寒そうな気はするけど、たぶん北上さんも俺と同じでダンジョンの影響もあってあまり寒くないのだろう。
お化粧もしてるんだろうなー。こうしてみると俺と同年代ぐらいに……ん?北上さんってこんな童顔だったっけ……あれえ?
あ、そういう事か。
「……なるほど。北上さんポーション飲んだんですね、なんか前と雰囲気変わったよなーと思って」
若返りのポーション飲んだって事だね。
個人差はあるだろうけど、人によっては20台前半とか10台後半ぐらいまで若返るかも知れないし。
北上さんもそんな感じなのだろう。
「今気づいたのっ?結構前から飲んでたけどなー」
「えっ……すんません、ちょいちょい顔見てたんで……」
やっちまったゾ。
週に何度も見てたら変化に気付かなかったんだよう……、
……このちょいちょい顔見てたって言葉もちょっとアレな気がしなくもない。いろいろあかん。
「冗談冗談、気にしなくていいよー。1年若返るのに1週間掛かるしねー」
北上さんは笑ってそういってくれだけど、今後は気を付けよう……。
ちょっとトラブルあったけど、車は無事目的に到着した。
車を降りると、もうじいちゃんが外に出てて俺たちを出迎えてくれた。
「あ、じいちゃんおひさー」
「おう、康平ようきた……そちらのお嬢さんが同僚さんだったかな?」
「北上です。今日はお願い聞いて頂いてありがとうございます」
じいちゃんに話を振られて、ぺこりと頭を下げて挨拶する北上さん。
じいちゃんばあちゃんには北上さんは同僚だとだけ伝えてある。
あと餅つきみたことがないから見せてあげたいと、ついでに突き立ての餅をご馳走したいとも。
「なんのなんの。ただの餅つきだが楽しんどってくれ」
米が蒸しあがるタイミングに合わせてきてるので、間もなく餅つきが始まるだろう。
あとでBBQ広場で焼いて食べたりもしたいし、多めに作る様お願いもしてある。
さてさて、頑張って餅つきますかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます