隔てた心の始まり

虚無~うつな~

隔てた心の始まり

全ては消えた。何もかも。しかし、彼女を維持させるものがあった。7代目女神はそれを心と断定し、それを4つに隔て、それぞれに意志と存在を与えた。




地下室には4つの心が集まっていた。


楽「こうなってしまったらしょうがないがお前たちはどうしたい?私はあくまで本体を取り戻すつもりだ。なぜだか知らないが本体も無事だ。」


喜「えへへ、お兄ちゃんに会えるなら私は何でもいいよ。お兄ちゃんに会ったら、あんなことやこんなこと…フフフフフ。」


哀「え、えっと…。私は、ど、どうしようかな?」


怒「はぁ?そんなくだらないことに付き合ってられるか。あんたはあんたでそれに裏があんだろ?オレはごめんだぞ。」


楽「お前はいつもイラついてばっかりだな。もう少し頭を使ったらどうだ?」


怒「…ちっ、あまり起こりたくはないんだが…あんたがその気なら…」


哀「ちょ、ちょっと、喧嘩はやめようよぉ…。」


 にらみ合う二人の間に喜は入った。


喜「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。う~んと、そうだ!みんなの呼び方、つまり名前を決めよ、ね?」


 そして、喜は全員に名前を付け始めた。


喜(エクステラ) 「ね?文句ないでしょ?」


楽(エクスバース) 「文句を言ったところでお前は押し切るだろ。まったく手が焼けるな。」


哀(エクル) 「わ、私はいいと思うよ。お兄様も呼びやすいと思うし。」


エクステラ「ねえ!どうかな?」


 エクステラが怒に話しかけた。


怒「むかつく…。そんなのはやめだ。私は…。くそ!もうあんたらは勝手にしろ!」


 怒はどこかへ行ってしまった。


エクル「ご、ごめんなさい!彼女も別に気にしてないと思います!わ、私…彼女を説得してみます。」


 エクルもどこかへ行ってしまった。


エクステラ「2人とも大丈夫なのかな?」


エクスバース「ああ、気にしないでいいだろう。あいつ、普段から気張って一人称まで変えて…。ま、その辺はお前が知らない方がいいか。エクルは帰ってこなさそうだな。多分今頃あいつに上手いこと返されて落ち込んでるだろう。」


エクステラ「そうだね♪それより!私たちはこれから何するの?」


エクスバース「そうだな。色んな戦力補強、情報収集…やることは山積みだ。」


エクステラ「お兄ちゃんにはいつ会えるの?」


エクスバース「できればすべて終わってからだが…、まだ一波乱ありそうだな。」





 あれから幾分か経った今、私はあの時の手記を見返していた。


エクステラ「エクスバースちゃん!みんな集まってるよ!」


 有間やエクルとも再会し、事態は収まりつつあった。

 その時、鈍い音が背後から聞こえた。


エクステラ「エクスバースちゃん!ずっと呼んでるのになんで気づいてくれないの?」


エクスバース「ああ、ごめん。…というか、いつも言ってるが扉とか壁を壊して入ってくるのはやめてくれ。」


エクステラ「別にお兄ちゃんが作ってくれるから大丈夫だって。あ、それって昔エクスバースちゃんがいつも持ってたやつ。」


エクスバース「そうだな。エクルとも合流した。だからいずれあいつも来るのかなって。」


エクステラ「当然でしょ!未離ちゃんが望んでるからね。」


エクスバース「あいつが何をしようと私の知ったことではないが…」


エクル「ち、違います!」


エクルがいつの間にかエクステラの背後にいた。


エクル「あの人は決してそんなことはしません!あの時、私に対しても自分の生き方が分からないって言って、私もそれは言い返せなかった。でも、あの人は自分なりの正義を貫いてみるって言ってた。…だから…」


エクスバース「安心しろ。私もあいつのことが嫌いなわけじゃないし、なんなら尊敬しているくらいだ。あいつは人に思ったことを言えるだけでなく行動もできるからな。他人に興味がない私と方向は違えど芯は同じだ。あいつはあいつなりに自由にやっているだろうよ。」


エクル「エクスバースさん。」


エクスバース「ま、それはともかくそろそろ行こうか。」


 エクステラは上の階へと向かう2人を優しく見守っていた。その手には新聞の一面が握られていた。


(もう1人が合流するかどうかでエクスバースは悩むと思う。そうだな、これがヒントだ。お前たちはみんな俺の大切な妹だからな。)

「大丈夫だったみたいだね。全知全能の創造神でも心は未知。ふふっ、私の謎もいつか分かるのかな。私の知らない昔のワタシ…。」


新聞には「正義のヒーローと名乗った少女が街を救う」と書かれていた。そこにはあの時よりも勇ましい怒と彼女が助けたであろう少女が写った写真が載っていた。


 上の階から声が聞こえた。


エクル「わ!え、えっと、エクステラさん!エクスバースさんが倒れてしまいました!」


エクスバース「ちょ、ちょっと待ってて!今行く!」


 エクスバースはため息をつき、ほほ笑みながら上に向かった。

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